第15回防災まちづくり大賞(平成22年度)

一人暮らし老人世帯火災警報器設置事業

優良事例(一般部門)
一人暮らし老人世帯火災警報器設置事業

広川町消防団
(和歌山県広川町)

事例の概要

 広川町消防団は平素、火災や災害時に町の安全を守るために消火活動のみならず、行方不明者の捜索活動、年末夜間警戒などの活動等を行うことを目的に結成された。しかし、問題視すべきは、消火活動を行う中で老人の火災時の逃げ遅れが目立ってきていることである。
 このような背景の中、湯浅広川消防組合が住宅用火災警報器の設置を呼びかけたり、地区ごとに共同購入等を活用する様に推進活動を行っているが、年々増加傾向にある一人暮らしの老人世帯に関しては住宅用火災警報器の設置の推進がスムーズに行えていないのが実態である。そこで、一人暮らしの老人世帯には、町が費用を負担し無償で設置する事業を始めたが、設置作業を業者ではなく町民が安心して任せられる消防団員が行うことで、スムーズに一人暮らしの老人世帯に住宅用火災警報器の設置を行えている。
 また、広川町では平成10年から自主防災組織の結成を開始し、平成18年には39地区全てにおいて結成され、火災警報器や初期消火の活動などの自助能力を高める活動を行っている。しかし、自主防災組織だけでは、専門知識や専門の訓練が不十分なため、広川町消防団は地域の自主防災組織と協力して、町民の防災力を高める自助能力の啓発運動にも積極的に参加することで、住宅用火災警報器設置の推進活動を進めている。
 前述のように、広川町では行政と住民の間に消防団の協力があるからこそ安全な町づくりがスムーズに行えている。

住宅用火災警報器取り付け作業

住宅用火災警報器

住宅用火災警報器取り付け作業

苦労した点

  • 1. 設置する消防団員に一人暮らしの老人世帯の個人情報を渡す際の取り扱い説明と理解を得てもらうこと。
  • 2. 設置を行う際に、普段別の仕事に就いている消防団員との時間調整を行うこと。
  • 3. 設置を行う前段階にて、住宅用火災警報器の取り扱いと設置方法の講習などを全員に行わなければいけなかったこと。

特徴

  • 1. 消防団は地区ごとにあるため、取り付けを行う世帯との交流が元々あり、スムーズに設置を行うことが出来ること。
  • 2. 設置先が「一人暮らし」に限定しているため、昨今問題になっている生存の確認や、そのほかの問題に直面した場合、早急な対応が取れること。

団体概要

広川町消防団

面積
65.31km2
世帯数
2,697世帯 人口7,980名(平成22年3月31日現在)
消防団分団数 3分団(本部含まず)
消防団員数 137名