優良事例(一般部門)
住宅用火災警報器を普及させるための取組「コンビニエンスストア受注方式」
紫野学区自主防災会
(京都府京都市)
事例の概要
■経緯
紫野学区自主防災会は、過去に火災が比較的多く発生している地域であることから、管轄消防署の指導のもと、防火対策に重点を置いた活動を行っており、特に、住宅防火対策として平成19年度から住宅用火災警報器の共同購入を実施し、住宅用火災警報器の設置促進活動に取り組んでいる。
平成20年以降は、地域内において無火災が継続しており、住宅用火災警報器の普及啓発が地域内の防火意識の高揚に大きく寄与しているものと考える。
しかし、住宅用火災警報器の設置がある程度進んできた最近では、残りの未設置世帯を減少させることが大変困難な状況になっており、紫野学区自主防災会では、住宅用火災警報器の設置促進活動を通じて地域内の防火意識の更なる高揚を図るため、共同購入方式の問題点等について未設置世帯の立場に立ち、改めて検討を行った。
その結果、住宅用火災警報器を未設置の世帯が、購入を思い立ったときに時機を逸することなく、身近な地域で安心して購入できる新たな方式として、コンビニエンスストア受注方式を考案し、取り組むこととした。
■内容
紫野学区自主防災会長が経営する24時間営業のコンビニエンスストアを、住宅用火災警報器購入希望の受付窓口及び業者発注のためのステーションとするもので、取り組み内容については以下のとおり。
なお、発注等に係る手数料については、一切受け取っていない。
- 1. 住宅用火災警報器未設置世帯に対し、消防署及び消防団が設置指導を行う。指導対象の選定は、消防署が所有する未設置世帯情報を活用し、消防団員や自主防災部の役員からも情報を収集する。
- 2. 住宅用火災警報器設置指導の際、自主防災会での共同購入方式について説明し、会長が経営するコンビニエンスストアで受け付けることを案内する。
- 3. 自主防災会は、設置工事込みで低価格にて提供できるよう、住宅用火災警報器の取り扱い業者と交渉する。
- 4. コンビニエンスストアにおいて購入希望数を取りまとめ、業者に一括発注する。
- 5. 発注は、毎月末に行う。
- 6. 業者は、申込世帯を訪問し、適切な箇所に機器を取り付けた後、申込者から代金を直接受け取る。
本部役員会(住宅用火災警報器の設置促進に向けた検討会)の様子
コンビニエンスストアでの受注時の様子
住宅用火災警報器取り付け時の様子
普及啓発用ポスター
苦労した点
- 1. 防火対策について関心の薄い住民に住宅防火の必要性を理解していただき、さらに、住宅用火災警報器の設置にこぎつけることに大変苦慮した。
- 2. コンビニエンスストア受注方式の周知に苦慮したが、自主防災会によるポスターの作成や回覧板を活用するなど、役員が知恵を出し合い住民への周知に努めた。
- 3. 高齢などの理由により、住宅用火災警報器の取り付けが困難な購入希望者のために、購入者に対する住宅用火災警報器の取り付けについても、業者との折衝を行った。
特徴
- 1. 欲しい時、いつでも、どこでも、安心して購入できるシステム。
- 2. 本年5月からは、地域の団体(町内会連合会)の協力が得られたことで、地域住民への更なる周知を図ることができ、結果、住宅用火災警報器の申し込みが急増している。
- 3. この方式の更なる発展型として、コンビニエンスストアに限定することなく学区内のコミュニティの場である公衆浴場や各種の小規模店舗でも申し込みができるような「ネットワーク受注方式」がより効果的と考えられることから、設置期限内(平成23年5月31日)に地域内の全ての世帯で設置されることを目標に、現在具体的な実施方法について検討中である。
団体概要
紫野学区自主防災会
災害対策基本法第5条及び京都市地域防災計画に基づいて、昭和63年7月8日発足。役員11名(学区各種団体長)及び本部役員6名、各ブロック長10名、各自主防災部長52名の組織である。自主防災会独自の主な取り組みは、以下のとおり。
- 1. 防火見廻り活動の実施(平成21年度実績:3回、計164名)
- 2. 自主防災会ホームページ再立ち上げ
- 3. 学区防災あんしんマップ及び住宅用火災警報器広報ポスター作成
実施期間
平成21年12月~