第15回防災まちづくり大賞(平成22年度)

地域で取り組む防災まちづくり活動~子や孫に引き継ぎたい災害に強いまち~

優良事例(一般部門)
地域で取り組む防災まちづくり活動~子や孫に引き継ぎたい災害に強いまち~

大森中・蒲田・糀谷地区防災まちづくりの会
(東京都大田区)

事例の概要

■経緯

 第一京浜、産業道路、環状8号線に囲まれた約197haの地区は、平成9年に東京都の「防災都市づくり推進計画」において重点整備地域に指定された。これを受け平成11年7月に、関係する自治会・町会や小・中学校のPTA、一般公募住民により「大森中・蒲田・糀谷地区防災まちづくりの会」が発足した。

■内容

 「自分たちのまちづくりは、自分たちの手で」という考えに基づき、防災まちづくりについて学び、学んだことを地区の皆さんに伝えることを活動の基本とした。

  • 1. 防災まちづくりについて学ぶ
    • (1)まち歩き
       地区内でまち歩きを行い、防災上危険な箇所等を確認した。この中で発見した防災上危険な電柱は、会からの働きかけなどにより移設を実現した。また、防災広場の設置も実現した。
    • (2)先進地事例視察
       防災まちづくりに先進的に取組んでいる地区において、現地の視察や現地の方との意見交換を通じて様々なことを学んだ。
    • (3)まちかどアンケート調査
  • 2. 学んだことを地区の皆さんに伝える
    • (1)まちづくりニュースなどの発行
       これまで見たこと、学んだことについて、防災まちづくりニュースを年1~2回発行(これまで23号発行)したり、防災まちづくり手帳の作成・配布を通じて、地区へ情報発信を行っている。
    • (2)防災まちづくりフェアの実施
       会の活動状況を報告するとともに、防災まちづくりの必要性を地区の皆さんに伝えるため、地区内の小・中学校において防災まちづくりフェアを開催した(これまで7回開催)。
       防災まちづくりフェアでは、会の活動報告のほか、備蓄食品を使った調理方法の紹介、災害救助犬による救助の実演、消防署の協力による消火訓練、起震車による地震体験、地元町会の協力による炊き出し、小学生による防災ポスターの展示等を行った。
    • (3)地区のまちづくりルールの検討・提案
       将来にわたって地区が災害に強いまちとなるよう、平成17年度よりまちづくりのルールを検討した。会で検討したルールについて、関係する町会・自治会を対象とした説明会や会が主催する住民説明会を開催した。これらの説明会や全戸配布のアンケート調査等を通じて、ルールの内容を深め「大森中・蒲田・糀谷地区~まちづくりのルール~」として取りまとめた。このまちづくりルールを防災街区整備地区計画の素案として平成22年3月に大田区長へ提案書を提出した。

まちづくりのルールを区長へ提出

商店街で防災まちづくりニュースの配布

防災フェア(地震体験車)

タウンウォッチング蒲田

タウンウォッチング西糀谷

苦労した点

 徐々に会の知名度は上ってきているが、まだ会の活動を知らなかったという人が多い。会の知名度を上げることは、地区の防災意識の向上と直結することであり、会の活動のPRをいかに行い、地区の皆さんの防災意識の向上を図っていくかが、これまでも苦労してきた点であり、引き続き今後の課題でもある。

特徴

「子や孫に引き継ぎたい災害に強いまちづくりを実現したい」という強い思いのもと、自治会・町会、PTAなど団体の枠を越えて、活動を11年間続けてきた。これまでの活動の集大成として地区のまちづくりのルールの取りまとめを区へ提言したことは、大きな成果である。
 今後もこれまで培ってきた地域のつながりを活かした街づくり活動を進めていく。

団体概要

大森中・蒲田・糀谷地区防災まちづくりの会
 地区内に在勤・在住・土地建物所有者であれば、誰でも参加可能

構成人員
自治会・町会・PTA・一般公募 57名

実施期間

 平成11年7月~