消防科学総合センター理事長賞(一般部門)
念仏講まんじゅう配り ~150年前の被災の伝承がつなぐ山川河内の防災~
(長崎県長崎市)
山川河内地区は、3方を山に囲まれ、古くから35世帯前後を維持してきた農村集落である。1860年4月9日(新暦5月末)朝、大雨による土石流が発生し、家屋7軒が全半壊し、33人が犠牲となった。行方不明者の捜索を打ち切った翌日の14日を月命日として、災害による犠牲者を弔う念仏講まんじゅうを毎月14日に集落の全世帯に配り始めてから、150年間継続している。災害の供養としてまんじゅうを配ることにより、世代を超えて災害体験を継承し、地域の土砂災害のリスクを共有してきた。これにより大雨の際に周囲の状況等に注意し、自主避難がなされる環境と防災意識が醸成されている。
毎月14日に配られる念仏講まんじゅう
次世代を担う地区の中学生の意識調査の様子