大日精化工業株式会社
東京製造事業所
(東京都足立区)
事例の概要
■経緯
- 1.事業所の取組み
- (1)毎年1月に自社工場敷地内で自衛消防隊等を中心として出初式を実施し、社員の防火思想の啓発を図るとともに、近隣住民、近隣事業所、消防団関係者を招待し相互理解を図っている。
- (2)消防署の自衛消防訓練審査会に参加し、7年連続して優勝する等、訓練への熱心さは他の参加隊の見本となっており高い評価を受けている。また、業務部門ごとに自衛消防隊を設けて非常時に対応している。
- (3)自社敷地内に防火水槽等8箇所を設置し、自社建物や付近建物の火災時には使用出来る。また、B-2級ポンプ2台を所有しており、状況により付近の災害には出場させる計画である。
- (4)社員教育のため救命講習や自衛消防隊員資格、危険物取扱資格者を毎年計画的に増員している。その他、消防関係年間計画を樹立し、「自分達の職場は自分達で守る」を合言葉に防災管理に努力している。
- 2.地域への取組み
- (1)近隣町会と年2回懇親会を開催し情報交換を行い、希薄になりがちな地域住民とのコミュニティを図り連帯感を深めている。
- (2)自社周辺区域(堀之内一丁目7~12番)の火災等災害時は、自社のB-2級ポンプ及び屋内消火栓を活用、自衛消防隊を出場させる計画が策定されており、近隣で発生した火災では、消火器及び屋内消火栓ホースを延長して活動した実績もある。
- (3)区役所及び消防署の各種事業等に積極的に参加し、他の事業所の模範となる防災活動を実践するとともに、自らも社会的責任を自覚し、「自分のまち(職場)は自分で守る」という強い意識でリーダーシップを発揮している。
- (4)自らの事業所内での訓練はもとより、防災週間や火災予防運動等「積極的に独自の発想」と「実践」により、足立区や消防署主催の訓練にも参加し、地域と一体となった防災活動を展開している。
- (5)事業所レスキュー隊発足
平成17年1月19日西新井消防署管内で8隊の事業所レスキュー隊が発足した中で、当事業所は組織が充実され定期的な訓練も継続され模範的な事業所レスキューである。その活動状況については、月間紙「自主防災187号」で紹介され高い評価を得ている。
初期消火訓練
レスキュー隊訓練
危険物火災消防演習
レスキュー隊訓練
危険物火災消防演習
レスキュー隊訓練
初期消火訓練
レスキュー隊訓練
危険物火災消防演習
苦労した点
地域住民に対し、事業所の立場をどう理解してもらうか、今日のコミュニティを確立するまで、あらゆる地域行事への参加を行い、懇親会を開催する等、創立以来地道に活動してきた。限られた予算と人員で、いかに社員に対して防災意識を高揚させ訓練していくか事業所を揚げて取り組んでいる。
特徴
- 1.事業所内に消防委員会を発足させ、事業所の防火管理を実施し、また社内各所に防災関係情報を掲示して防火防災の思想向上を図っている。
- 2.防災行動力を充実強化する為、消防関係年間計画を樹立し各種行事や訓練を実施している。また防火管理者、普通救命講習等の受講や危険物取扱者資格取得等、毎年計画的に増員している。
- 3.自社敷地内で大々的な出初式を行い、地域住民、行政機関を招待し、相互理解を図っている。
- 4.機関紙に投函し自社の防災に対する取組みを紹介している。
- 5.毎年消防署主催の屋内消火栓操法大会に参加し、平成16年7月に8連覇を達成した。
委員のコメント(防災まちづくり大賞選定委員 金谷裕弘(総務省消防庁国民保護・防災部防災課長))
大日精化工業東京事業所は東京都足立区の荒川近くに立地している顔料・樹脂などを主要製品とする、従業員数約400人の工場である。この事業所では、毎年、1月19日に出初め式を実施しており、今年で、45回目という歴史を重ねている。近隣の住民の代表の方、地元消防署長をはじめとする消防職員、消防団の出席を得て行われており、まさに地域と一体となった出初め式となっている。工場では、他にも、地域の祭りの際、近隣住民の方々に敷地を開放したり、地域行事にも積極的に参加するなど、交流を図っており、出初め式の日は、工場の操業も、午前中はストップして(保安要員を除く)事業所職員全員が参加するという、他に例を見ないような積極的な取り組みがなされている。もちろん主体となる自衛消防組織の設置は法律で義務づけられているが、「全員」が参加しての出初め式・訓練は、他になかなか例を見ない取り組みといえる。また、近隣の火災等では、地域との協定等に基づかず、自主的に自衛消防隊を出動させて初期消火の協力をすることとしており、実際に、近隣の工場の火災の際、延焼防止に貢献し、西新井消防署長から感謝状が授与されている。また、地元西新井消防署の自衛消防訓練審査会では、連覇を達成しており、その技術についても、相当なものである。さらに、昨年からは、地元消防署の働きかけに応え、事業所レスキュー隊を発足させた。訓練の様子を見させていただいたが、資機材として、フォークリフトを用いて、家屋等の倒壊で下敷きになった被災者を助ける訓練など、「工場」ならではの機能を持ったレスキュー活動が期待される。地域と共に歩み、地域に貢献する工場の姿がここにあると感じた。
団体概要
- ・ 大日精化工業株式会社:(本社)東京都中央区日本橋馬喰町、(国内)関連会社含め39事業所、(海外)27事業所
- ・ 事業内容:無機・有機顔料、プラスチック着色剤、各種印刷インキ、化・合成繊維、着色剤、織布用捺染着色剤、合成樹脂製品、無機質塗料、生化学製品、エレクトロニクス関連製品、分光光度計の製造販売
- ・ 東京製造事業所:(従業員数)410名、(事業所開設)昭和19年10月
実施期間
平成15年~