消防庁長官賞(住宅防火部門)
ふれあいながら広めていきたい防災の輪 ~紙芝居、ペープサート、寸劇等による防火意識の啓発~
倉敷市女性防火クラブ連絡協議会
(岡山県倉敷市)
事例の概要
- 1. 目的
倉敷市では、多くの市民に防火の重要性を伝えるため、倉敷市女性防火クラブ員が平成15年から平成19年までの4年間で、幼稚園、老人ホーム、イベント会場等で約40回、身近な素材をテーマに広報活動を行った。 - 2. 内容
- (1)防火紙芝居
「もりのしょうぼうだん」
(財)日本防火協会より寄贈された当紙芝居は、幼児に理解できる内容で、色彩も鮮明で興味をひくよう上手に表現されている。ねずみなどの登場する動物の役でセリフを言います。
「あぶないね ひこうききょうそう」
~石油ストーブによる火事~(監修指導:東京消防庁)
「みんなで ひなんくんれん」
「ねぼすけチュータくんとおじさん」など - (2)ペープサート(紙人形劇)
水前寺清子 唱「ひまわりしているか」
(監修:日本消防協会会長 徳田正明)
リズム感のある元気な唄で、火事の原因と火の用心!を呼びかけている。倉敷市消防音楽隊の生演奏に合わせ上演するため、迫力があり、歌詞の一部を大きく画いて示す表現が 観客に広く伝わる。 - (3)防火寸劇
「ひなんくんれん」
幼児を対象とし、紙芝居から独自のセリフも盛りこみ、火災発生時のすばやい避難の注意点を訴えている。
「我が家を守る住宅用火災警報器」
高齢者を含む一般市民を対象とし、住宅用火災警報器の認知度が低かったため、オリジナル脚本に基き、方言(岡山弁)で楽しみながら理解度を上げるように創作している。 - (4)横断幕
横5m、縦60cmの大きな紙に、その年の全国統一防火標語を印刷し、舞台で表現している。
- (1)防火紙芝居
- 3. 取組み方
- (1)準備
綿密な打合せを重ね、大道具・小道具の製作、動物のお面や衣装の創作、消防自動車のサイレン音など擬音の録音等の準備をした。 - (2)練習
市消防局の協力の上、会議室や講堂の舞台を使用し、発声や演技の練習を重ねた。
- (1)準備
- 4. 実施して
多くの人とのふれあいができ、防火啓発は、心の理解から生まれてくると実感した。
動物に扮して防火寸劇
防火寸劇「ひなんくんれん」
園児と一緒に防災ゲーム
ペープサート(紙人形劇)
防火紙芝居
防火寸劇「我が家を守る住宅用火災警報器」
高齢者の防火教室
防火ポスター展示と資料配布
園児と記念写真
苦労した点
「紙芝居をする、劇をする」と張り切るものの、実行すると、思わぬ難題に遭遇する。
- (1)人員の確保…メンバー8人が常に参加できるとは限らない。火災予防週間など季節的に依頼が殺到する時季は、少ない人数のため、全てに対応できない事もある。
- (2)演技力…コンサートなどの大舞台に立つ時は、声の質、量、抑揚やメリハリのついた動作が難しい。オリジナル劇では、得意の岡山弁で試みるが、恥ずかしさが隠しきれない。
- (3)大道具の調達…低予算での取組みであるため、すべて手作り。簡単で理解してもらえるよう最善の努力をした。
- (4)知名度…活動を知ってもらうため、市の教育委員会を通じ、市内の幼稚園・保育園に案内を届けた。訪問した園の園長からの口こみで少しづつ依頼が増えた。また、コンサートで発表することも大きな道筋となっている。
特徴
メンバー構成としては、楽しいことが大好きな8人組で、TPOに合わせ、真剣な顔、元気な顔を持っている。
可愛い動物になったり、腰の曲がった婆さんや悪徳業者に扮したり、レパートリーも少しずつ増えている。メンバーは、「私達にできる事を一生懸命にやろう」という一つの心で結ばれている。園児といえども鋭い目で観ているため、緊張の連続で、劇や紙芝居の後での園児との話し合いも大変勉強になる事が多く、良い刺激を受けている。失敗もあるが、そこから学ぶ事もあり、前向きな姿勢で取り組む勇気に誇りを持っている。
県婦人防火クラブ研修会の席で発表する機会に恵まれ、他のクラブ員から「具体的な内容で、住宅用火災警報器がわかりやすく伝わる。」と評価された。「県下でも私達のような取組みをしているクラブはないので広めていくように。」と励まされ、嬉しく感じた。
「安全で安心なまち」をつくるため、人とふれあいながら、防火の輪を広めたいと願っている。
団体概要
倉敷市女性防火クラブ連絡協議会
- クラブ数
- 21クラブ
- クラブ員
- 1,518人
活動地域の世帯数:17,341世帯
(人口 50,585人)
※数字は平成19年5月1日現在