【消防庁長官賞】事業所集団で構成する防災福祉コミュニティ
旧居留地連絡協議会防災委員会(兵庫県神戸市)
事例の概要
本組織は、旧居留地及びその周辺の事業所108社で結成され、ネットワークを活かした防災協力体制の確立及び自主防災力の向上を目的とした事業所相互のコミュニティである。
本地区は、阪神・淡路大震災の教訓として、市民・事業所・行政が励しあって、安全で安心して暮らせるまちづくりに取り組む「防災福祉コミュニティ」事業のモデル地区として神戸市から指定を受けている。
事業所個々の自主防災体制の基盤強化を図るため、平成10年1月に「事業所のための『防災マニュアル』作成の手引き」を作成配付し、さらに当面の目標である旧居留地全体の「地域防災計画」を作成した。
この「地域防災計画」には、大規模災害時に、帰宅困難者に対して地区内全ビルの会議室や廊下等を行政機関が体制を整える72時間の間、一時退避場所として提供し、最低限の生活支援(非常食及び医薬品の支給)を行うこととしている。また、地域内の医師や市民救命士による救護、被害状況や交通情報等の情報提供コーナーを設置する等が計画されている。
さらに、平成13年中には計画内容の検証を行うため大規模な災害発生を想定した防災訓練を行う予定である。
当防災委員会は毎月17日(震災発生日)に定例会を開催し、事業者と行政及び市民との協同を体現する先駆的なコミュニティを精力的に目指している。
また、平成12年8月29日の阪神・淡路大震災の教訓を反映した神戸市総合防災訓練に際し、当協議会の会員100名以上が積極的に参加して、市民及び行政との緊密な連携活動を行った。
なお、人的資源の充実策の一環として、人工呼吸や心臓マッサージ等の応急処置が適切にできる「市民救命士」を1,000名養成する計画を立てており、既に320名が資格を取得している(平成12年現在)。
市民救命士講習会
消火競技大会
市民救命士実演披露
バケツリレー
「防災マニュアル」作成手引き(表紙)
地域防災計画(本文~居留地隣組)
居留地隣組位置図
苦労・成功のポイント
■苦労について
事業所数が多いこと及び事業形態が異なることから、意思統一が困難であった。
■成功について
広域にわたって、地域の自主防災力が確立された。
成果・展望
今後の活動として、事業所間のつながりだけではなく、オフィス街の中にある住宅で生活されている住民とも、お互いに助け合っていく取組みがなされている。事業所と住民とのつながりが深まることで、さらに安全で安心なまちづくりが実現するものと確信している。
実施期間
平成8年~
事業費
年間200千円
団体の概要
旧居留地連絡協議会:会員数108社、委員会役員11名