【消防庁長官賞】消火器BOXを!防災伝言板に!
葛飾区堀切二丁目西町会 防災部(東京都)
事例の概要
■経緯
堀切二丁目西町会では、「逃げるのは最後の手段!」を合言葉に1995年9月防災部を再生し、「震災が発生したとき、町会は何をするのか?、町会役員は何をするのか?」を検討しながら、いろいろな事業を行ってきた。
震災時の町会役員・居住者(住民)の行動を一元化した「防災マニュアル」の作成・配布(全世帯)を皮切りに、防災マップ作り、消火手段・D級ポンプ市民消火隊の有効活動方策の検討、各種防災訓練等を行ってきた。そして、1999年8月、「消火器BOXの有効利用法」として震災時の情報伝達に役立てることを主眼とした「防災グッズ」を葛飾区役所の協力を得て配備した。
■内容
区内の街路に設置している9,600本の消火器がスチール製のBOXに収められていることに着目し、堀切二丁目西町会内の35ケ所の消火器BOXに①防災地図②ホイッスル③懐中電灯④筆記用具⑤防災マニュアル(行動表)⑥震災時住民連絡票⑦ガムテープ・マグネットをワンセットにして消火器BOX内に配備し、大震災時の伝言板等既存の配置品を多目的活用法として有効に利用したものである。
■特色
既存の消火器収納ボックスを多目的に利用したものである。特に「ホイッスル」は、口語障害や一時的恐怖感により声が出ない方、身体に障害のある方にも配慮され、危険を周りに知らせる連絡手段として、その効果が大いに期待できる。
■その他
防災への取組みとして「防災はハードよりもソフトが重要である!」との考えから、災害発生時の町会(町)方針・防災活動の方法・住民との情報伝達などソフト面の徹底を図ることに重点を置き、それらを行うために必要な「モノ」としてハード面の強化を実行している。
- (1)1995年9月 防災マニュアルを作成し全世帯に配布した。
1998年9月 改訂版防災マニュアルを作成し全世帯に配 布した。 - (2)1995年5月 防災名簿の作成
- (3)1995年8月 防災地図の作成
1999年8月 一部修正、防災地図の作成(全世帯配布) - (4)1996年1月~防災訓練と防災学習
毎年9月1日と1月17日を「町会防火デー」とし、その日を中心に前後の休日に防災訓 練を実施している。 - (5)1996年8月 河川(綾瀬川)から揚水及び放水訓練を実施
- (6)1996年5月 第一防災資器材倉庫整備
1998年8月 第二防災資器材倉庫整備 - (7)1999年8月 町内19カ所の一時集合場所を設置し「ナマズ」マークの看板を設置し掲出した。
本町会は、阪神・淡路大震災を教訓として、葛飾区内でも防災に対する住民の意識が卓越した町会である。一化性の計画ではなく常に見直しを図り、ソフト面からハード面へと実行し、今では1,200名の町会住民が一体となった「人の輪」が出来あがった町と言える。
防災訓練の輪が町の催し物「祭り」等にも波及し、地域が一体となって活気のある町会となっている。この町会の輪が、区内の他の町会への防災意識高揚の一助になればと期待しているところである。
消火器BOX
中に入れておくもの
ナマズマーク
消火器BOXの点検
消火器BOXの点検
消火器BOX
「ナマズ」マークの看板
災害資機材倉庫
災害地図
災害名簿
苦労・成功のポイント
- 1.苦労
予算面で一番苦労した。 - 2.成功
住民の理解と町会役員のコミュニケーションの「輪」が構築された。
成果・展望
- 1.成果
- (1)既存物の有効活用で、必要経費が少額であった。
- (2)住民に対して継続的に防災意識の高揚が図られた。
- (3)災害に対する備えが一段と充実強化された。
- 2.展望
「消火器BOXの有効利用」と「ナマズ」マークの利用が今後の防災行動カに充分に発揮されるものと期待している。
実施期間
1995年~1999年
事業費
900(円)×35(ヶ所)=31,500円
団体の概要
堀切二丁目西町会:世帯数約500世帯住民1,200名
防災企画部:衛生部・交通部・防犯部・防災部・厚生部・地域部(5班)の6部門の役員45名で構成されている。