第04回防災まちづくり大賞(平成11年度)

【消防科学総合センター理事長賞】地区別防災カルテの作成及び説明配布

【消防科学総合センター理事長賞】地区別防災カルテの作成及び説明配布

vol.4 022-025 MapLayer1

札幌市消防局防災部(北海道)

事例の概要

■目的

 自主防災活動の支援のため、これまで行ってきた防災資機材の支給(ハード)、防災リ一夕ー研修(マンパワー)に対する支援に加えて、情報支援というソフト面の支援を充実することで、活動を活性化させ、より実践的なものとする。

■特色

 土石流危険地区やがけ地といった災害危険情報を5千分の1の縮尺で地図化して分かりやすく市民に公表した。
 また、公表と合わせて、各区役所に町内会の代表者を集めて説明会を開催し、札幌市の防災対策について説明するとともに、災害が予想される時に住民が留意すべき点についても説明を行い、防災一般に対する質疑も行った。
 この結果、カラーで320種類の地図を作成し、約2,060の町内会に配布したが、後日、電話による苦情が予想に反し少なかった。

■内容

 作成した地区別防災カルテはカルテ部分と地図部分の二部構成となっている。地区別防災カルテのカルテ部分表面の情報提供部分では、地区の概況、課題、人口・建物構成など地域で自主防災の計画を作成する際に役立つ項目を記載している。
 裏面の町内会記入部分では、地域での防災計画を作成する際に必要な項目として、組織編成、年間の活動予定、防災活動の内容等を具体的に示し、実際に書き込めるようになっている。
 地図部分は、防災上地域に必要な情報提供を中心に考えており、避難場所、消防署所、災害時応急協力井戸等の防災安心情報等とがけ地、土石流危険渓流、延焼危険区域といった災害危険情報を1枚の地図に記載している。

vol.4 022-025 P1Layer1

カルテ部(東区 栄西)表面

vol.4 022-025 P3Layer1

カルテ部(東区 栄西)裏面

vol.4 022-025 P2Layer1

防災マップ部(東区 栄西)

vol.4 022-025 P8Layer1

防災安心情報及び防災危険情報

vol.4 022-025 P4Layer1

カルテ部(中央区 宮の森)表面

vol.4 022-025 P5Layer1

防災マップ部(中央区 宮の森)

vol.4 022-025 P6Layer1

カルテ部(南区 真駒内)表面

vol.4 022-025 P7Layer1

防災マップ部(南区 真駒内)

苦労・成功のポイント

 一般に災害危険情報の公表は、情報の公表による地価などへの影響の懸念及び防災を所管する部局とがけ地や土石流危険渓流といった個々の情報を所管する部局が異なること等から、公表を見合わせる事例や大まかな位置の公表にとどまり、家屋の位置がわかる程度の本当に住民の防災に役立つレベルにいたらない事例が多い。
 そこで、防災部と災害危険情報を所管する土木部、地域計画部の3部で、「災害危険情報の公表に係る三部会議」を設置し、2年間かけて公表の合意と各部の責任の明確化や市民への説明内容の確定を図った。

成果・展望

 住民に対する説明会を合計16回、約1,500名以上の町内会の代表者に行ったことで情報の公表にとどまらない事業展開ができた。札幌市の防災対策の周知に加えて、各町内会が抱える防災上の悩みについても直接耳を傾けることで、要望を今後の防災施策へ反映させることが可能となった。
 なお、膨大な労力と経費をかけて作成した地図情報データベースを、地震計ネットワークと接続し、地震時の被害予測や地震時の初動体制確立に利用していく、「リアルタイム地震防災」のためのシステム構築につなげていくこととし、効率的な防災対策を実現する予定である。

実施期間

 平成9年~平成10年

事業費

 約35,000,000円