【自治大臣賞】駒ヶ岳火山防災会議協議会の火山防災に関する啓発事業
駒ヶ岳火山防災会議協議会(北海道森町など5町で設置)
事例の概要
北海道駒ヶ岳火山の山麓に位置する「森・砂原・鹿部・七飯・南茅部の5町」が協力して一体的な火山防災対策を行うため、昭和55年に5町により、災害対策基本法第17条1項に基づく「駒ヶ岳火山防災会議協議会」を設置し、「防災計画図(ハザードマップ)を2種類(危険区域及び交通規制、避難場所及び避難道路図)」を全国に先駆け作成した。同時に、この防災計画図に基づいた「駒ヶ岳火山噴火地域防災計画」を策定し、山が静かな時に将来の火山噴火災害に備えるということで、5町の負担金により各種の火山防災対策事業を実施している。
特に、火山防災に関する地域住民等への啓発事業として、昭和59年度より「壁貼り防災ポスター(3種類を作成)」や「防災ハンドブック(4種類を作成)」を隔年で作成し、5町の全家庭に配布することにより住民の防災意識を高め、火山噴火に備えて、いざという時の日頃からの準備を呼びかけている。また、次の時代を担う子供達にも駒ヶ岳火山のことを知ってもらうため、防災ハンドブックに子供のページを設けるなどの工夫もしている。
「日頃から駒ヶ岳とはどんな火山か。火山噴火災害とはどんなものか。」を知ることが防災の第一歩であることから、火山学者や火山の専門家の協力のもと、火山防災講演会等も毎年開催している。
また、平成6年度には、「駒ヶ岳が怒った時-備えあれば憂いなし-」という火山の防災ビデオを関係機関や火山学者等の協力のもと制作し、地域住民、防災関係機関、学校、図書館等に配布し、防災意識の向上に努めている。
平成10年度には、火山防災教育のための駒ヶ岳火山防災ハンドブック「火山科学と防災を知る」や「駒ヶ岳火山噴火地域防災計画 昭和4年6月17日大噴火の記録」を作成し、地域住民や防災関係機関職員等の防災教育・啓発活動に努めるほか、駒ヶ岳で行われた
’98火山砂防フォーラムの参加者に配布するなどし、将来の噴火災害に備えた啓発事業を実施している。
駒ヶ岳の歴史時代の噴出物
駒ヶ岳の歴史時代の噴出物
平成8年3月5日の小噴火写真
平成6年度制作の火山防災ビデオ
平成10年度の防災ハンドブック、防災計画図、防災講演会チラシ
駒ヶ岳火山噴火災害危険区域予測図(火砕流(軽石流)・火災サージ)
駒ヶ岳火山噴火災害危険区域予測図(火災泥流・土石流、岩)
昭和59年度~平成9年度までの防災ポスター・ハンドブック
駒ヶ岳火山噴火災害危険区域予測図(降下火砕物)
成果・展望
全国に先駆けハザードマップを作成し、地域住民に公開するなどし、山が静かな時に将来の火山噴火災害に備えて、周辺5町の駒ヶ岳火山防災会義協議会で継続的に火山防災に関する地域住民等への啓発活動や防災教育のための事業を進めてきた。
また、全国の活火山を抱える自治体等から火山防災ハンドブックや火山防災ビデオの恵贈依頼も多く、火山防災の参考になればと送付している。
今後とも「災害から私たちの生命や財産を守る最大の力となるものは、日頃からの私たち自身の防災意識なのです。」を基本とし、火山噴火災害を防止・軽減し、地域住民が安全で豊かな生活を営んでいくために、5町が協力をし、継続して駒ヶ岳火山防災会議協議会の各種事業、特に地域住民への火山防災に関する啓発事業や防災関係機関職員等の防災教育を進めていきたい。
苦労・成功のポイント
「駒ヶ岳という活火山のふもとに住んでいる。」「これからも火山と共存していかなければならない。」「駒ヶ岳周辺5町で協力をし、山が静かな時から継続をして火山防災対策を行わなければならない。」という火山防災意識を地域住民に持ってもらえばと思い、各種事業を実施している。しかし、どのような事業が最適なのかを見きわめるのは難しい。また、5町の負担金のみで事業を行っているため、財源的な制約もある。
このような中で、火山の学者・専門家・研究者等の積極的な協力のもと、駒ヶ岳周辺5町で設置している駒ヶ岳火山防災会議協議会と防災関係機関が連携し、さらに地域住民の参加と協力により、各種の火山防災対策事業を継続して実施してきた。
「継続は力なり。」「ベストよりベター。」「駒ヶ岳が好きです。」が、成功のポイントである。
事業年度
昭和59年度~平成10年度
事業費
最近の年事業費 1,500,000円
(5町の負担金、1町あたり300,000円)
団体の概要
昭和55年10月、駒ヶ岳周辺の森町、砂原町、鹿部町、南茅部町、の5町により駒ヶ岳火山防災会議協議会(会長:森町長)を設置。