【消防庁長官賞】早稲田のまちの防災
早稲田商店会防災企画(東京都)
事例の概要
■経緯
早稲田商店会防災企画は平成8年に発足した。「自分たちのまちは自分たちで守る」をモット-に、「楽しめる防災」を追求してきた。在住、在勤、在学しているまちの人々に関心を持ってもらうには楽しめることが必要である。しかし、そういった中でも得るものはたくさんあるはずである。このスタンスでまちの人の防災意識を高めようと活動している。
■内容
- 1.ML(メーリングリスト)の活用
防災、環境、福祉、教育など多角的な視点からの意見交換。 - 2.防災まち歩き
- 3.MAPつくり
- 4.耐震家屋診断、住まい方診断
- 5.発災対応型訓練
- 6.発災後安否確認システム作り
- 7.震災対策疎開ツア-
提携地域に毎月積立金をし、震災が起きたときには、そこに半年間疎開させてもらうというプロジェクト。全国50地域と提携中。 - 8.地球感謝祭
毎年夏に行われているイベントで、環境を切り口に始まった。現在では防災もテーマとしており、その他福祉やボランティアもテーマとして取り上げている。2001年の 防災企画は以下の6点である。- (1) 防災キャンプ
- (2) 発災対応型図上訓練
- (3) 消防団デモンストレ-ション
- (4) 起震車体験
- (5) 大学防災備蓄品展示スペ-ス
- (6) 震災対策疎開ツア-提携先地域物産品販売
地球感謝祭パンフレット
地球感謝祭
起震車
消防団デモンストレーション
備蓄品展示
防災キャンプ開会式
防災キャンプ夕食作り
図上訓練
ホームページ
苦労・成功のポイント
初期の頃は、まちの人の呼びかけが思うようにいかなかった。しかし、地道に楽しみながら活動を続けていくうちに段々と参加してくれるようになった。
成果・展望
まちの人の防災意識を高め、災害が起きたら「よし来た!」と言えるまちづくりを目指している。また、一人暮らしのお年寄りなどをまちの人たちが守っていくという一体感、思いやりのあるまちにしたい。
委員のコメント(浦野委員)
早稲田商店会は、実にアクティブに活動を展開している団体である。いろいろなアイデアが生まれ実現される、まさに孵化器(インキュベータ)のような役割を果たしているのが、実に魅力的である。早稲田周辺における住民活動は、10年以上前から大学町のメリットを生かしたカルチエ・ラタン構想などユニークな活動を展開してきたが、早稲田商店会の環境や防災を中心に据えた一連の活動は1996年からであり、早稲田いのちのまちづくりの一貫として、エコ・サマー・フェスティバルをたちあげたことにはじまる。このイベントが大学の夏休み、売上減になる「夏枯れ」対策として実施したものであるなど、早稲田商店会の事業には、「儲かって、楽しい」というモットーと精神が浸透している。これが多数の修学旅行生を引き付ける原動力になっているのだろう。実にユニークな疎開先提携の呼びかけと疎開費用保険制度の実現、ふだんの顧客サービスを盛り込みICチップを活用する震災時安否確認システムの構想、大学や学生とタイアップしたユニークな活動の開拓など、これからも早稲田商店会の活動から目が離せない。
実施期間
平成8年~
事業費
1,200,000円(商店会の拠出金等)
団体概要
構成人員:50名、東京消防庁、新宿消防署、新宿区防災課が行政として参加