優良事例
(一般部門)
狩生区は皆が支え合い、皆が守るんだ!
~防災は地域のコミュニティーから始まる~
狩生自主防災会 (大分県佐伯市)
事例の概要
■経緯
佐伯市は合併により、九州一の面積を持つ市として、平成17年3月3日に誕生したが、広大となった地区を管轄する行政には、災害時の速やかな対応を期待することはできない。
本地区は佐伯湾に面しており、地震による津波発生の際には、地区の内部まで波が寄せてくると予想され、更に毎年襲来する台風では、かつて地区を貫流する狩生川が氾濫し、危険な状況に陥ったこともあった。
狩生地区は平成7年に自主防災会を設置したが、目立った活動が停滞していた。このような中「狩生地区防災会」を今こそ活性化し、区と区民を守る自覚を区民一人ひとりが持てる組織にしようと会長が立ち上がった。消防団等の協力を得て、数々の活動を行った結果、地区を皆で守ろうとする気運は佐伯市で最も高いものとなった。また、この活動を通じて、防災に留まらず、地域のコミュニティーの更なる醸成もなされた。
■活動内容
- 1 平成17年度に大分県による「防災地域づくり実践活動」を本地区で実施し、4回の講座を通じて知識を得るとともに、小さな地区毎のハザードマップを作成し、危険予想場所の把握ができた。
- 2 1で受講した知識を基に、地区が独自に「狩生地区防災計画」を策定したことにより、行政側からの視点ではなく、災害時の対応等について地区の視点からどうすべきか皆で考えるようになり、地区民の防災対策を進めるうえでの指針を示した。
- 3 災害時に必要となる消防ホース等を入れた格納庫を地区内の数箇所に設置した。また、はしご・担架・大型バール・大型救急箱等の各種資機材を購入した。
- 4 防災意識を更に高めていくため、地区の小学校の協力により、防災標語の募集をし、「防災標語展」を開催した。また、「防災について学ぶ親子の集い」を開催し、命の尊さと、助け会いの大切さを学んだ。防災への関心を持続させるため、地区内に標語の看板を立てている。
- 5 防災活動に即応するため、自主防災組織の充実を図ると共に「防災デー」を設定し、毎年避難訓練、消火訓練等の区民総参加型の各種訓練を実施している。
- 6 毎年2回の「自主防災だより」を発行し、区民の防災意識の啓発を行っている。
- 7 「防災の日」に全戸で「防災会議」を開催、その際に「我が家の防災対策」として、30項目に亘ってチェックするための点検用紙を配布し、高齢者で一人暮らしや災害弱者の方には役員が訪問して一緒になって点検を行っている。
- 8 災害弱者台帳を整備しているが、特に災害弱者の救出体制として、リヤカーや「おんぶ作戦」で対応できるよう一人に対して2名の協力員を決めており、そのための訓練も実施した。
防災訓練(図上訓練)
防災標語
防災訓練(防災について研修)
防災訓練(消火栓の点検及び訓練)
消防格納庫の設置
苦労した点
- 1 防災会による訓練や講習は硬くなりがちであり、これが次回の参集に繋がらない事になると懸念された。このため参加した地区民に判り易く、また一方的な講習にならないよう、地区に関する普段の世間話の延長から切り込み、自由な意見を述べる事ができるよう配慮した。
- 2 自主防災会の会計は自治会からの繰り入れに頼っており、限られた予算の中での防災資機材等の整備に苦慮している。
特徴
- 1 地区の防災計画を地区民が自ら作成した。
行政の作成する大綱的なものと異なり、地域に限定した詳細な事項について、区民が話し合い、共に考えながら防災計画を策定したことにより、区民の防災意識は一層高まった。 - 2 世代間の交流が行われた。
地区の小学校の協力により、小学校も自主防災会の地震体験車の試乗、簡易担架の作成、防災まち歩き等の活動に一緒に取り組み、父兄、老人会等の日頃顔を合わせることのない世代同士が防災活動を通じて交流を行った。
更にこの活動を通じて、世代間ふれあい軽スポーツ大会を開催し、自主防災の原点であると思われるコミュニティーの醸成に一層寄与できている。
団体概要
- ・自主防災会設立 平成7年8月1日
- ・地区の世帯数 153世帯(平成20年4月1日現在)
- ・地区の人口 403人(平成20年4月1日現在)
実施期間
平成17年~