優良事例
(一般部門)
「大和田防災デー」
…共に助け合い災害から町をまもる…
大和田防災会
(福井県福井市)
事例の概要
■経緯
福井市は、戦時中の昭和20年の福井空襲、戦後の復興期である昭和23年の福井地震、そしてまだ記憶に新しい、平成16年の福井豪雨により甚大な被害を受けながらその現実に立ち向かい地域の深い結びつきにより復興し現在に至っている。しかし私達は被害の大きさとその苦しみを忘れてはならない。
それらを教訓とし、大和田防災会(自治会)では、昭和63年にそれまで行っていた年1回の防火訓練を、毎年4月の第3日曜日に自治会定例防災行事として年間予定に組み入れ、名称を「大和田防災デー」とし子供から老人までの全住民が共に助け合い、そして体験できる参加型の各種訓練を行うことにより、ご近所や地域の結びつきを深め、災害に対応する基礎知識と応用力を身につける手助けを行なうものとした。
■内容
- 1 大和田防災デーの訓練内容については、大和田防災会の実動隊となる、大和田自衛消防隊のメンバーが主体となり、自治会選出の消防団員及び防災会幹部と協議の上、マンネリ化しないよう工夫しながら決定した。
- 2 訓練については、日曜日の午後約3時間を限度に大人から子供まで、また婦人からお年寄りまでが参加し、訓練内容も遊び心を取り入れる等、誰もが参加できる訓練を目指した。
- 3 大和田防災会では、自治会を3エリアに分割し、それぞれのエリアにおいて、臨時指定避難所を設定、避難訓練時には特に隣家への声かけを徹底し、子供や高齢者等の災害時要援護者の逃げ遅れをださないような避難訓練を行なっている。また、保有している無線機や拡声器を使用し、停電時を想定した情報伝達訓練も行なっている。
- 4 防災会独自のオリジナル標語を入れた横断幕を作成し地区住民の防火意識の高揚を図った。
- 5 婦人会が中心で行う炊出し訓練では、短時間に持ち寄った自作の野菜等の食材を使用し、調理にお年寄りの知恵を取り入れ暖かい非常食作りを行っている。
救急講習
避難訓練人員報告状況
小型ポンプ操法訓練での放水状況
水消火器による初期消火訓練
水消火器による初期消火訓練
苦労した点
- 1 近年の社会思想の変化による、若い住民の地域活動への参加を得る為に、常日頃からあいさつ等のコミュニケーションをとるように努力したこと。
- 2 女性、子供やお年寄りが災害被害者となる確率が高いため、これらの人が参加しやすく優しい訓練であるべく、訓練内容を検討し、訓練時の進行や話すスピード、そして訓練内容に特に工夫した。
- 3 避難訓練時の隣人への声かけ等が確実に行われているかの確認に苦労した。
特徴
出来るようで出来ないのが、自助共助の基礎となる自治会単位での総合訓練である。毎年4月の第3日曜日に「大和田防災デー」を定め、防火意識の高揚に努めた。また、大和田防災会では災害発生時に備え各種防災資機材の整備を計画的に行い、これらの資機材を有効に活用した各種訓練を実施。また、人口の高齢化に伴い、災害時要援護者を含めた、各家庭の人の状況までも家人の同意のもと役員が把握し、自治会内の住民で災害発生時の避難誘導等初動活動から住民支援、災害時要援護者支援までの総合的な訓練を行うことにより、災害に対応できる環境作りを行っている。
受賞歴
福井市防火委員会防火功労者等表彰制度
防火活動実践功労団体表彰(平成14年、平成19年)
福井市消防表彰制度 消火活動感謝状(平成19年)
団体概要
大和田防災会(福井市大和田町 大和田町自治会 世帯数79世帯、平成19年統計資料)
福井市への自主防災組織正式登録(平成4年3月18日)
実施期間
昭和63年~