優良事例
(一般部門)
箪笥地区災害復興模擬訓練
[箪笥地区の事前復興まちづくりを考える]
新宿区箪笥地区町会連合会
(東京都新宿区)
事例の概要
■経緯
阪神・淡路大震災等の災害を教訓とし、発災時から町が復興する過程を学習するとともに、災害後の速やかな復興を実施するため、箪笥地区町会連合会と防災関係機関及び早稲田大学共同による復興模擬訓練を行い、以下の3点について共通の認識を保有することを目的とする。
- 1 まちの問題点を把握する。
- 2 まちの復興について基本的な考え方をまとめる。
- 3 まちづくりのための人材を育成する。
■内容
- 第1回復興模擬訓練(平成19年11月21日)
- 1 阪神・淡路大震災後の復興まちづくりを学ぶ。
- 2 首都直下地震の被害想定と地域協働の復興模擬訓練の意義を学ぶ。
- 3 箪笥地区における復興模擬訓練の進め方を共有する。
- 第2回復興模擬訓練(平成19年12月2日)
- 1 まち歩きの進め方
まちを歩いてメモを図上にまとめ、この町の復興時における問題点や課題を明らかにし、また活用できるまちの場所、施設を発見し参加者で共有する - 2 震災復興体験型ワークショップ
(復興の過程を模擬体験する)
- 1 まち歩きの進め方
- 第3回復興模擬訓練(平成20年2月17日)
震災復興体験型ワークショップ- ア まちの被害を仮想シナリオ上で体験する。
- イ まちの状況と個人の変化について考える。
- 第4回復興模擬訓練(平成20年3月2日)
震災復興体験型ワークショップ
(今から始める安心・安全のまちづくり) - 第5回復興模擬訓練成果報告(平成20年5月14日)
■成果
第1段の作業として「まち歩きの進め方」と題して、このまちが大災害に遭ったと想定し、歩いて得られたメモを図上にまとめ、この町の復興時における問題点や課題を明らかにし、また活用できるこの町の場所や施設を発見することにより、被災から立ち直るまでには何をなすべきか検討する作業を実施したことにより、各町会・自治会等の役員約50名が共通の認識を保有することができた。
更には、まち歩きによって得られた情報を元に「復興まちづくり」の有効活用や復興時の様々な人や組織の連携について考えを進めたことから、本訓練を通して得られた復興まちづくりのアイデアを広く地域の共通認識とすることができ、また、いざ震災が発生してまちが被災したとしても、被害を最小限にくい止め、地域が歩みをそろえて速やかに復興する共通認識ができ、今後の防災意識の向上に大きく役立つものと高く評価される。
第4回訓練:復興まちづくりを行うためのアイデアについて参加者間で検討
第4回訓練:復興まちづくりの課題と解消方法、資源の有効活用を検討
第2回訓練:まちあるきによる災害危険箇所の確認
第2回訓練:坂の多い町並みを確認し、災害時に活用できる資源を検討
第3回訓練:学生スタッフによる震災復興体験型のワークショップ
苦労した点
参加者を多く募ることに苦心した。復興模擬訓練は第1回から第5回まで全て参加していただくことで効果が上がることから、町会連合会長等の声かけで多くの町会役員等の参加を得ることができた。
特徴
- 1 町会・自治会役員を中心として、地域のまち歩きにより細部に渡る防災事情を直接見て、参加者全員が共通の認識の保有が出来た。
- 2 本訓練には、地元18町会(自治会)・早稲田大学理工学部学術院建築学科佐藤滋研究室・新宿区区長室危機管理課、箪笥特別出張所、建築課、警察署、消防署、首都圏総合計画研究所等と多くの方々が参画し、それぞれの連携を深めることが出来た。
- 3 最終成果報告会において地域住民に実情を広く周知することができ、防災意識の向上を図れた。
団体概要
伝統のある神楽坂を抱える新宿区箪笥地区町会連合会は、地域住民の結束力の強い地域であり、特に震災等に対する地域防災意識が高く、避難所運営管理協議会による避難所運営訓練や自主防災訓練などを積極的に実施している地区である。また、消防行政に対し深い理解を示し、消防署と密接な関係にある協力団体である。18町会、4,484世帯
実施期間
平成19年11月~