第13回防災まちづくり大賞(平成20年度)

地域との連携を深めながらの防災教育の実施

優良事例
(一般部門)

地域との連携を深めながらの防災教育の実施

東京都立六郷工科高等学校
(東京都大田区)

事例の概要

■経緯

 東京都立六郷工科高等学校は、人権尊重の精神や協調の意識を高め、豊かな心を育てることを教育目標とし、地域社会との連携を深め、実践的な知識・技術の修得を図ることに努めている。
 この理念に基づき、平成19年度からは自動体外式除細動器(AED)の配置を契機に在校生の普通救命講習を開始するとともに、平成20年度は消防職員、消防団員並びに地元町会の市民消火隊員の指導を受け、軽可搬消防ポンプの取り扱い訓練を実施したものである。また、奉仕体験活動の一環として、隣接する特別支援学校の避難訓練に参加し、車椅子での避難介助訓練等を体験し、障がい者に対する支援の必要性、大切さを学んでいる。

■内容

  • 1 平成19年度のAED配置を契機に、平成20年1月16日在校生及び教師210名が授業の一環として普通救命講習を受講し、救急知識、技術の資格取得を図った。本年度も、平成21年1月に普通救命講習の受講を予定している。
  • 2 平成20年度からは地元の東六郷二丁目町会市民消火隊が、校内敷地で軽可搬消防ポンプ操法訓練を実施することに伴い、地域との連携と共助を目指し、共に自分たちのまちを守ろうという意識のもと、7月4日に高校生30名が参加し、消防職員、消防団員並びに地元町会の市民消火隊員の指導を受け、軽可搬消防ポンプの取り扱い訓練を実施した。
  • 3 都立高校で実施している奉仕体験活動の一環として、平成19年9月26日、当校に隣接する東京都立城南特別支援学校の避難訓練に在校生200名が参加し、車椅子を使用する児童、生徒の避難介助訓練を実施した。避難訓練後は予想以上に和やかな雰囲気の中でミーティングを行い、城南特別支援学校の児童、生徒との交流を更に深め、他人を思いやる心を育むことが出来た。この合同避難訓練は交流教育の大変貴重な場として、今後も継続する方針である。
  • 4 その他に、自衛消防訓練では避難訓練終了後に、校舎の一部を利用しての煙体験や、起震車による地震体験、並びに模擬消火器を使った初期消火訓練も継続して実施している。

■成果

 東京都立六郷工科高等学校の防災教育により、地域との連携を密にしながら実践的な知識・技術を修得するとともに、更には、人を思いやる豊かな心の涵養が図られている。本校の防災教育を体験した生徒たちは、今後、地域における防災力の向上に貢献できる社会人として巣立つものと確信している。

救命講習受講

都立城南特別支援学校との合同訓練

東六郷二丁目町会市民消火隊と高校生の合同ポンプ操法訓練

都立城南特別支援学校との合同訓練

都立城南特別支援学校と高校生の合同避難訓練

苦労した点

  • 1 ポンプ操法訓練時、30名の生徒達への安全面を配慮し、ヘルメットや軍手の準備に苦労した。
  • 2 合同避難訓練は計画段階で、安全に車椅子介助が出来るのか、また障害を持つ児童と上手く接することが出来るのか等について心配した。
  • 3 200名を超える人数の普通救命講習は延べ4日間となり、他の学校行事との調整等に労を要した。

特徴

  • 1 地域との連携により、住民及び特別支援学校との相互理解が深まり、信頼関係が築かれた。
     また、体力的に恵まれている高校生が消火や救命等の知識・技術を修得したことは、地域の防災力向上に貢献している。
  • 2 車椅子の避難介助訓練は特別支援学校の児童、生徒本人や学校職員及び保護者の方たちから大変感謝された一方、本校の生徒たちの意識改革が図られ、災害時要援護者に手を差し伸べることが出来るようになってきた。

団体概要

東京都立六郷工科高等学校
平成16年4月1日開校
生徒数:680名、教職員数:144名
3課程(全日制課程、定時制課程、デュアルシステム科)
* 数字は平成20年5月現在

実施期間

平成19年1月~