第14回防災まちづくり大賞(平成21年度)

生活情報の伝達@普段の生活に防災を取り入れた生活防災.jp

優良事例
(防災情報部門)
生活情報の伝達@普段の生活に
防災を取り入れた生活防災.jp

加古川グリーンシティ防災会
(兵庫県加古川市)

事例の概要

 加古川グリーンシティ防災会は、平成7年の阪神・淡路大震災を教訓に、私たち自身、あるいは社会自体がもっている災害に対処できる能力「社会の防災力」に視点を置き、色々な仕掛けを幅広い世代にわかりやすく、「楽しさ」を加えながら独自の防災活動を行ってきた。その「社会の防災力」を向上させるひとつのキーワードに「情報伝達」がある。
阪神・淡路大震災の被災後、被災者はたくさんの情報を必要とした。その情報は「生活情報」と言うもので、どこでどのような支援が受けられるのか等、災害のニュースではなく、自分たちの身近な生活情報である。これは限られた人しか関心を持たない、身の回りの細かな情報で、マスコミ等では取り上げにくい情報だが、被災者が本当に欲している情報とはこのような生活情報だと気付いた。
しかし、それら情報伝達システムは被災後すぐに構築できるものではない。日頃の生活の中で育み使えるようにしておかなければならない。その為に、普段の生活の中に「情報伝達システム」を構築しておく必要と使用可能な環境を作っておく「生活防災情報システム」を構築してきた。
 加古川グリーンシティ防災会では、総合的防災活動の中から、ソフトとハード事業に分けた情報伝達システムは以下のとおり。

  • 1. ソフト面
    • ・「あんしんカード・REC(レック・Record)」あんしん情報登録制度
    • ・「グリーンだより」毎月発行の広報誌による住民防災意識の高揚
    • ・「命のライセンス」発行による被災時の行動指針開発
    • ・「防災知識の共有」防災講演会の実施で防災意識の向上
    • ・「災害図上訓練DIG」幅広い世代間で開催し災害発生までの防災体制の確立
    • ・「エレベータ緊急時応急手当訓練」の開催による自主救助機能の確立とマニュアル整備
    • ・「型破りの炊き出し訓練」イカ焼き機で炊き出し訓練による自主備蓄の啓発
    • ・「防災インターネットラジオ」開局による防災啓発と遠隔地との通信体制
    • ・「帰宅支援サポーター」帰宅難民にならないための行動指針開発
    • ・「防災ラジオ放送」電波を通した地元FMラジオ局とコラボレーション
    • ・「安否確認プログラム・SPC」災害発生時の的確な安否確認の為のシステム開発
    • ・「非常持ち出し本・DIB」何のために防災活動を行うのかを導き出す本の刊行
  • 2. ハード面
    • ・「ニューメディアシステム」テレビを使った緊急情報を伝達する自主放送設備
    • ・「グリーンネット」マンション内イントラネットを使ったマンション運営情報及び緊急情報システム
    • ・「防災会ホームページ」知り得た防災情報や防災知識をより多くの方々に発信する運営管理
    • ・「防災情報モバイルホームページ」携帯電話を利用した防災啓発と災害発生時緊急伝達システムの構築
    • ・「緊急時安全管理システム」敷地内やエレベータ内に防犯カメラの設置
    • ・「防災無線機」被災時マンション内通信システムの設置
    • ・「防災啓発システム」企業と防災コラボレーション
    • ・「防災掲示板」防災啓発や被災時生活情報の掲示用に設置
    • ・「避難集合表示板」マンション内、災害時避難集合場所の表示板設置

 数々のアイデア事業を通して、防災を普段の生活の延長線上に置く「生活防災」を推進し、防災を継続するためにキーワード「あなたの大切な人を守るために防災をしよう」を啓発している。

防災インターネットラジオ

FMラジオ放送「防災SHOTBAR」

グリーンネットの画面

防災情報モバイルホームページ

防犯カメラの設置

苦労した点

 多くの住民にとって災害はテレビで見るものであって、自分は体験しないと思っている。あるいは、災害は恐ろしいが自分が被災する状況は考えたくないと思っている人が大半である。そのような人たちに防災を防災と意識させずに「備えること」の大切さをどのように伝えれば効果的なのかが課題であった。そこで普段の生活の中に防災を組み込む方法を模索するため、多くの識者やメディアから学んだ結果「生活防災」というひとつのキーワードが見つかった。

特徴

 被災地では、被災者は何をするにも行列をつくり、順番を待たなければならない。被災者の多い都市型災害の場合にはこの傾向がとくに強まり、長蛇の列の順番待ちでは些細なこともトラブルの原因になる。
 過去の災害の教訓から、自分たちの身近な生活情報(病院・支援物資・ゴミの収集・トイレ等)が入手できれば、被災者の不安やいらだちは大いにやわらぐことがわかった。
 生活情報の提供はとてもささやかなものだが、被災者の生活をしっかりと支えてくれる情報である。
 私たちは、生活情報を普段から発信することにした。それが「生活防災情報システム」である。

団体概要

加古川グリーンシティ自主防災組織
構成世帯数:584世帯
構成人員:約2,000 人

実施期間

平成8年~