第16回防災まちづくり大賞(平成23年度)

住宅用火災警報器の無償貸与事業

優良事例(住宅防火部門)

住宅用火災警報器の無償貸与事業

和木町
(山口県和木町)

事例の概要

■経緯

 近年、全国的に住宅火災による死者が急増し、特に65歳を超える高齢者の方が犠牲となるケースが増えている。中でも、就寝中に火災に遭遇した場合はその発見が遅れ、「逃げ遅れ」による死者は死者全体の7割にも及んでいる。
 このような「逃げ遅れ」による犠牲者を減らし、人命と財産を守ることを目的として、平成18年6月1日に改正消防法が施行され、新築住宅は平成18年6月1日から、既存住宅については平成23年6月1日から全ての市区町村において住宅火災警報器等の設置が義務化された。
 本町では、消防法の目的に鑑み、より多くの家庭に住宅用火災警報器の普及を図るため、米軍基地再編交付金による無償貸与事業を実施した。

■内容

  • ○事業の流れ
    • 1. 町民が和木町役場窓口にて申請書を提出する。
    • 2. 審査・決定し、申請者に決定通知書及び引換券を交付する。
    • 3. 町民が業者(和木町との契約業者)と連絡をとり、警報器を設置する。

申請受け付けの様子①

申請受け付けの様子②

申請受け付けの様子③

警報器設置の様子①

警報器設置の様子②

取付確認サインをする様子

苦労した点

  • 1. 事業開始後に申請が殺到し、窓口に列ができるほどであった。担当者では手が足りず、担当課の職員全員で受付対応にあたった。
  • 2. 申請が殺到したため、内容の審査及び決定通知の送付までに時間を要した。そのため、申請をしても住宅用火災警報器の設置がすぐにできない世帯があった。
  • 3. 申請者の中には、申請後に業者と連絡をとらず、設置の進まないケースがあり、そのような場合には電話等により設置の呼びかけをしなければならなかった。
  • 4. 新築住宅以外の住宅用火災警報器設置世帯を把握するためには、電話による確認以外に方法がなく、時間を要した。

 事業の実施について、和木町の広報誌、ホームページ等を利用して町民への周知を行った。また、未申請の世帯には電話等によりお知らせし、積極的に設置していただくようお願いをした。

特徴

 平成21年12月時点における住宅用火災警報器の全国推計普及率は52.0%である(消防庁予防課の「住宅用火災警報器の普及率推計結果」より)。また、岩国市と和木町を所管する岩国地区消防組合の調査によると、所管内の推定普及率は32.5%であり、全国平均を大きく下回っていた。そこで、米軍基地再編交付金による無償貸与事業として、住宅用火災警報器の普及を推進した。
 事業により、和木町内における普及率は、平成23年6月時点で83.9%まで上昇した。同時期での全国普及率が71.1%(消防庁予防課の「住宅用火災警報器の普及率の推計結果について」より)であるため、全国平均を大きく上回る普及を実現できた。さらに、その後の事業継続により、7月末時点の普及率は86.9%となった。なお、申請が済んでいて、設置が完了していない世帯があるため、設置済の世帯が増えれば、普及率は一層高まることとなる。

団体概要

 和木町は人口が6,574人(平成23年4月1日時点)で、山口県東端に位置している。防災活動をはじめ、消防・救急活動においては、消防団と岩国地区広域消防組合が一体となって、災害予防、防災意識の啓発活動に努めている。

実施期間

平成22年6月~平成24年3月(予定)