第16回防災まちづくり大賞(平成23年度)

「地域で取り組む南海地震への備え」

優良事例(一般部門)

「地域で取り組む南海地震への備え」

興津地区自主防災組織
(高知県四万十町)

事例の概要

■経緯

 興津地区は太平洋に面した沿岸部にあり、町中心部とつながっている道路は1本しかなく南海地震等の災害時に孤立することが予想される地区である。
 このため、近い将来起こるといわれている南海地震に備え、「自分たちの命は自分たちで守る」取り組みを地域の自主防災組織が中心となって進めている。
 15年ほど前から、南海地震発生を想定した「地震・津波避難訓練」を毎年実施するとともに地元の小中学校と連携し、防災訓練や防災学習を行い、防災意識の向上につなげている。
 なかでも興津小学校では「孤立が予想される地域で南海地震から身を守るための地域と連携した防災教育の推進」を目的とし、地域と連携した地震・津波に対する先進的な防災教育の取組を長年にわたり行い、地域の防災意識の向上に大きく貢献している。

■内容

  • 1. 平成8年度から南海地震発生を想定した「地震・津波避難訓練」を毎年9月の防災週間に合わせ実施している。
  • 2. 興津小学校では、防災学習会や地域の防災マップづくり、海抜表示シールの作成・設置を行い、防災意識向上につなげるとともに、学校での防災教育の取組を地域内外に積極的に発信している。
  • 3. 海岸部近くにあった保育所とデイサービスセンターについて、地域や小学校の提言により高台への移転を実現させた。
  • 4. 孤立する可能性が高い興津地区への緊急用ヘリポートの必要性を唱え、土地の無償提供等地元が全面的に協力し、県補助事業により平成23年度に整備工事完成の予定である。
  • 5. 南海地震に備え、高台の防災倉庫や避難広場の防災倉庫に防災資機材や非常食等の備蓄品を自主防災組織で配備している。

興津地区の全景

地域住民と興津小中学生による防災学習会

津波避難訓練の様子

地域住民と興津小学生による防災シンポジウム

防災マップ作りの様子

AEDを使った訓練の様子

炊き出し訓練の様子

苦労した点

  • 1. 毎年9月に実施している防災訓練への地域住民の参加者を増やすこと。
  • 2. 住民に災害の恐ろしさ、防災対策の大切さを認識させ防災意識を向上させること。
  • 3. 学校で取り組む防災学習、防災マップ作りへの取り組み内容。

特徴

  • 1. 防災訓練や日頃の地道な活動により、自主防災組織の災害時の体制作り、地域住民の防災意識向上を図ることができた。
  • 2. 行政にヘリポートの必要性や、海岸部にあった保育所やデイサービスセンターの高台への移転を訴え、南海地震等災害時の備えを早期に実現することができた。

団体概要

構成人員:興津地区自主防災組織加入者1,028人(557世帯)
 平成13年度、旧窪川町時代に一番先に設立された自主防災組織である。太平洋に面した沿岸部に位置する興津地区には、興津郷分・興津小室・興津浦分の3つの自主防災組織があり、設立当初から活発に活動をしている。

実施期間

平成8年9月~