優良事例(一般部門)
“自分たちで5日間を乗り切る!”地域の防災力
豊岡学区災害避難所運営組織
(愛知県名古屋市)
事例の概要
■経緯
本市は、平成12年に東海豪雨の被害を受けるとともに、東海地震と東南海・南海地震による被害が危ぶまれている。本事例における豊岡学区にあっては、山崎川があり、河川氾濫の危険性があるとともに、低地の地域もあることから、浸水被害も想定される。また、高齢化社会が進む中、災害時要援護者への対応も課題となっていた。
このような状況の中で、行政の実施する防災訓練に参加するだけでは、地域でいざという時の対応ができないのではという危機感が募った。
そこで、平成13年に「豊岡学区災害避難所運営組織」を立ち上げ、発災時の組織体制を確立し、情報網の整備や備蓄品の確保などを進めるとともに、以降、訓練を定期的に実施している。
■内容
- 1. 発足当初は、本市が作成した避難所運営マニュアルを基に、班体制を構築した。組織図や腕章をつくり、役割を明確にした。また、図上訓練を行い、課題を洗い出す作業をした。
- 2. 発災時を想定した実践的な訓練を実施(年2回)。具体的には、要援護者の安否確認や、避難所での避難者の受入、炊出し、応急救護、救援物資の分配等を行ったが、いずれも班体制を活かしたものである。また、災害ボランティア団体・区社会福祉協議会とも連携し、災害ボランティアセンターの立ち上げ訓練も行った。
- 3. 災害時の情報網の途絶を想定し、全12町内会で無線機を導入した。高額ではあったが、理解を得られ、実現した。日常の学区のイベント等でも使用し、操作訓練の一環としている。
- 4. 備蓄品についても検討し、充実を図っている。停電時に備え、発電機を導入した。また、ガスが停止することも想定し、学区の拠点である準コミュニティセンターにかまどを設置するとともに、鍋や炭の備蓄を行い、300名規模の炊出しができるようにした。
- 5. 災害時要援護者の見守り活動を行い、3ヶ月に1回、対象者の確認をし、安否確認訓練につなげている。また、一人暮らし高齢者等の給食会においても、啓発活動をしている。
- 6. 東日本大震災を踏まえ、食料確保のため、地元企業との連携を模索するとともに、津波の際の避難のため、学区内のマンションオーナーと協定の締結に向けて調整を図っている。
- 7. 区役所では、「防災事例発表会」、「広報なごや 瑞穂区版」で取り組みを紹介した。区内の他学区にとっては、参考となるもので、区全体の防災力の向上につながった。
班別腕章
安否確認訓練
かまどを活用した炊出し訓練
応急担架組立訓練
AED操作訓練
備蓄物資分配訓練
発電機操作訓練
ふれあいネットワーク会議
苦労した点
- 1. 当初は、何をしてよいか分からなかったが、失敗を恐れずに取り組むことにした。班のリーダーを決め、課題を出し合うことから始めた。そこから、訓練の必要性を認識し、実践的な訓練を行うことや情報網の確保のための無線機導入など具体的な取り組みにつながった。
- 2. 災害時要援護者の対策については、どのように行ってよいか分からなかったが、区社会福祉協議会が推進する、高齢者等の見守り活動である「ふれあいネットワーク」を活かしながら実施した。
特徴
- 1. 発災後5日間を地域で乗り切ることを目標とし、訓練や備蓄品の確保を行っている。
- 2. 訓練は、避難から避難所生活に至るまでの一連の流れをシミュレーションするものであり、その訓練を通じて、必要な備蓄品の把握や課題を見出し、防災体制を強化することにつながっている。
- 3. 各町内に無線を導入したことで、防災意識を高めることにつながった。
- 4. 東日本大震災を踏まえた対応を検討することで、さらなる防災力の向上を図っている。
- 5. 防災の取り組みを通じて、「自分たちの地域は自分たちで守る」という風土ができ、よりよい取り組みにつながるというサイクルができている。
団体概要
構成人員:160名
災害対策委員を兼務する区政協力委員(町内会長)、各町内会から選出された者、民生児童委員等学区の各種団体の者から構成される。
なお、区政協力委員・災害対策委員は名古屋市独自の制度である。
実施期間
平成13年~