優良事例(一般部門)
地域特性・地域事情による「町会単位での訓練」
大阪市東淀川区菅原連合振興町会
(大阪府大阪市)
事例の内容
■経緯
約3,800世帯を有する菅原連合振興町会では、平成20年3月16日に区役所からのノウハウの提供を受けながら「菅原わがまち防災訓練」を実施した。これを契機に今日、菅原地域全体で町会単位での防災訓練が活発に実施されている。
連合全体の訓練では「町会単位での課題」や「地域事情」をすべて取り入れ、訓練に反映することは出来なかったが、「菅原わがまち防災訓練」実施後は、菅原地域内の10の各町会が、より地域特性や地域事情に合わせた「町会単位での訓練」を下記のように実施してきている。
訓練に際しては、大阪市における自主防災組織である「地域防災リーダー」や、町会役員、民生委員、青少年指導員、福祉委員など地域社会福祉協議会役員が、何度もワークショップを開催し、訓練内容、役割分担、シミュレーションを行って検討し実施した。その結果として、地域住民の防災に関する意識が高まり、毎回多くの参加者がいる。また、訓練に使用した看板などの備品を防災倉庫に備蓄し、万一の災害に迅速に対応できる体制を整えることが出来ている。
■内容
- 1. 最初に町会単位での訓練実施に手を挙げていただいたのが、菅原連合の災害救助部長兼菅原地域防災リーダー隊長が居住する町会「パークハイツ振興町会」で平成21年3月22日(日)に実施。
- 2. 次にパークハイツ防災訓練に青少年福祉委員の一員として訓練に参加した青少年福祉委員校下代表の居住する「ファミール東淀川振興町会」が平成21年9月13日(日)実施。
- 3. パークハイツ防災訓練実施後、すぐに訓練準備を始めた「下西振興町会」が平成21年10月25日(日)に訓練実施。
- 4. 今後、町会単位で防災訓練実施予定の町会は、下北振興町会が平成21年12月6日(日)、菅中振興町会が平成22年3月28日(日)に訓練実施に向けての協議や地域住民に対しての防災啓発活動を進めている。その後も残りの町会で順次実施し全町会での実施を目指している。
簡易担架で負傷者を搬送
地域防災リーダーによる応急救護訓練
資器材を使用して負傷者を搬送
1階エリアで負傷者宅の確認。救助指示
リヤカーで負傷者を病院へ搬送
苦労した点
- 1. 災害時に援護を必要とする高齢者等を把握している町会がある一方、把握してない町会もあり、避難者救護においてレベルを合わせることに苦労したが、全体として高齢者支援についての各町会員の理解を得ることが出来た。
- 2. 第1回目の避難所開設・運営訓練では、町会役員500人と1,000人の一般参加者を合わせて1,500人を超える参加となったため、受付時の対応に大変苦労したが、地域住民の防災意識の高さを再確認できたことと、実際に災害が発生したときのような混乱状態の中での訓練を体験できた。
特徴
- 1. 地域特性にあわせて、町会単位でも自主防災組織が確立された。
- 2. 家具転倒防止のための学習会や、災害時の弱点やメリットを把握するための、地域まちあるきなどを通して地域住民の防災力が向上してきている。
- 3. 訓練内容は、単なる避難訓練ではなく避難所開設・運営を主目的としたものであり、訓練の準備においても、町会役員や、民生委員、青少年指導員、福祉委員など地域社会福祉協議会役員が、訓練内容についてワークショップを通じて検討し実施している。これらを通じて実際の災害発生時にも区役所などの防災関係機関の支援を待つことなく、迅速に自分たちだけで災害救助、避難所の開設・運営などの活動を行うことが出来る、技術面・知識面・意識面での能力を地域コミュニティとして持つことが出来たと考えている。
団体概要
構成人員:加入世帯数3,822世帯(平成21年6月1日現在)
昭和22年、災害救助法の制定に伴い、大阪市では各区で赤十字奉仕団が結成され、昭和24年にその連合体として「大阪市赤十字奉仕団」が結成されてきた。同年2月には菅原連合が発足。その後災害救助のみならず、大阪市地域振興会の一組織としてコミュニティづくり、市・区政への協力、日本赤十字社への協力を活動の柱とする東淀川区地域振興会に表裏一体の組織として活動している。
実施期間
平成18年~