第14回防災まちづくり大賞(平成21年度)

地域力の勝負だ!地域住民と高校生が手を取り合ってまちづくり

優良事例(一般部門)
地域力の勝負だ!地域住民と高校生が手を取り合ってまちづくり

東神田町会、東神田豊島町会及び都立一橋高等学校
(東京都千代田区)

事例の内容

■経緯

 都立一橋高校では、高校生の「奉仕」体験活動が授業に組み込まれた平成19年度から、近隣の東神田町会と東神田豊島町会に声をかけ、高校生の奉仕体験という教育的効果はもとより、地域住民と協働した防災訓練や防災マップづくりを実施することにより、地域の防災力向上を図っている。

■内容

  • 1. 活動期間や活動の頻度
     平成19年度から毎年7月中旬の2日間をかけ、1日目に防災訓練を、2日目は地域の防災マップづくりを実施している。
  • 2. 取組の規模(参加者や組織数など)
    参加者 3年生 150名
    東神田町会 30名
    神田豊島町会 30名
  • 3. 地域の防災や社会への貢献度、実施効果
    訓練実施内容は以下のとおりである。
    • ① 都立一橋高校の校庭には100トンの応急給水槽がある。これは火災時の延焼拡大防止のための防火水槽と震災時の飲料水の供給を兼ねているもので、実際に給水の訓練を東京都水道局職員の指導のもとに行い、さらに消防団員の指導のもとに50ミリのホースを用いて放水訓練を実施した。
    • ② 模擬消火器を用いた初期消火訓練や、AEDを用いた応急救護訓練も合わせて実施している。これにより高校生や地域住民が、消火器の使用方法やAEDの取扱い要領を修得することができた。
    • ③ 千代田区防災課とも連携し、災害時のトイレの重要性を体感するためにマンホールを活用する仮設トイレの設置訓練を行った。また、階段を自力で歩けない人のために使用する車いす型の避難器具を使用して、町会員が避難器具の椅子に座り、それを高校生が階段から下ろす訓練を実施した。
    • ④ バールやのこぎりなどの救助資器材の使用体験、炊き出し用の大型ガス釜の組み立てや使用方法の確認および起震車体験をした。
     防災訓練の第1日目は都立一橋高校の校庭や体育館、教室が会場となる。日頃町会員は校内に入る機会が少ないことから、まず校内に入るということが町会員の高校生に対する親近感をもつ第一歩となる。
     実施した翌日には、高校生と地域住民がいっしょになって防災マップづくりに取り組み地域を巡回することから、お互いに顔見知りとなり、地域に設置されている街頭消火器やAEDの位置を確認し、更にはそこから、震災時に自分たちがすべきことや日常生活の状況まで話が膨らんで親子のように年齢差はあるがコミュニケーションがとれるようになる。
     これらの成果を壁新聞形式にまとめたものや作成された防災マップはその場で終わることなく、秋に行われる都立一橋高校の文化祭において発表され、文化祭に訪れる地域住民たちとまた、コミュニケーションをとる機会ができるのである。

■成果

 自分たちが住んでいる街や、通学している街がいざ災害という時にどんな対応が可能なのか、高校生と地域住民が一緒になって訓練を実施することから、世代を超えた連帯感が生まれる。
 訓練参加者は、お互い、訓練のやり方やその結果に興味をもって言葉を交わしているが、その世代を超えたコミュニケーションが地域の防災行動力の向上につながると思われる。

起震車体験

応急救護訓練

給水訓練

初期消火訓練

放水訓練

苦労した点

 通常の高校生だけの学習として行動するのではなく、地域住民と連携する必要があることから、日程調整や場所、協力機関との調整に苦労した。

特徴

  • 1. 都立高校生と地域住民が連携して、世代を超えて震災に備える訓練を実施しているということ。
  • 2. まず、高校、町会及び協力関係機関が内容について事前に打ち合わせを数回実施すること。そして夏に実施したその結果をその場で終わりにするのではなく、秋の文化祭においても発表することで、地域住民との連携が継続性で強固なものとなること。

団体概要

都立一橋高校3年生 150名
東神田町会  (世帯数 448世帯 770名)
神田豊島町会(世帯数 259世帯 388名)

実施期間

 平成19年7月~