優良事例(一般部門)
「民生委員児童委員発 災害時一人も見逃さない運動」の実践
佐倉地区民生委員児童委員協議会
(千葉県佐倉市)
事例の内容
平成19年度は民生委員制度創設90周年であったことから、記念事業として『民生委員・児童委員発 災害時一人も見逃さない運動』をスローガンとした全国一斉活動が展開された。
佐倉地区民児協は、上記の事業に手を上げ、佐倉地区の民生委員・児童委員35名が一丸となって事業を推進してきた。
- 1. 大規模災害時における「災害時要援護者」の把握と「地域支援者」選定
まず、事業の中心である「災害時要援護者」の把握と「地域支援者」の選定について事業を進めた。その流れは次のとおり。
- ①「災害時要援護者」の把握と台帳作成
佐倉地区管内74団体の代表者に趣旨説明と協力依頼を行った上で、民生委員・児童委員が地域住民とともに「災害時要援護者」の把握と、本人からの同意を得て台帳の作成を実施。 - ②「地域支援者(助け合う仲間)」の選定
次に「災害時要援護者」本人の意向を尊重しながら、近隣の方に「地域支援者」となってもらうよう依頼を実施。
- ①「災害時要援護者」の把握と台帳作成
- 2. 「災害時要援護者台帳・地域支援者台帳」の管理と保管
「災害時要援護者台帳・地域支援者台帳」は、自治会・町内会等の長、防災担当者、班長・組長・ブロック長、地域支援者、災害時要援護者や民生委員・児童委員の中から、各地域の状況に応じて保有する者を決め、適切に管理する旨の周知を行った。
また、台帳の記載内容に変更が生じた際には、修正を行い、定期的または適宜更新を行うようルール化を図ったほか、自治会・町内会等の役員が変わった際にも、確実に引き継ぎがなされるよう自治会・町内会等の総会時に台帳の確認を行うなど、事業が継続するよう努めている。 - 3. 見守りネットワーク活動の構築
災害時要援護者支援は、災害時のみならず、日頃の見守り活動による児童虐待や高齢者虐待、孤独死等の早期発見といった福祉課題の解決にも繋がることから、佐倉市や佐倉市社会福祉協議会、日赤奉仕団、佐倉地区管内の自治会・町内会・区、小中学校、PTA、青少年育成住民会議、高齢者クラブ、保護司会、更生保護女性会等の各団体と見守りネットワークの構築を進めた。 - 4. 災害時一人も見逃さない運動の展開
- ①講演会の実施
佐倉地区において実践し、得た経験をもとに、講演会資料を作成し、要望のあった他の地区に対して講演会を行い、災害時要援護者支援の必要性とその方法、そして災害時要援護者支援に必要な地域のつながりの重要性について、広めてきた。 - ②佐倉市発行「地域における災害時要援護者支援の手引き」への掲載
佐倉市が平成21年4月に発行した「地域における災害時要援護者支援の手引き」の策定における基礎資料となったほか、事例紹介として掲載されている。
- ①講演会の実施
千葉県単位民児協会長研修会での事例発表の様子
千葉県単位民児協会長研修会での事例発表の様子
災害時要援護者登録台帳
災害時要援護者登録台帳保管封筒
佐倉地区民生委員・児童委員だより
苦労した点
災害時要援護者支援には、自治会・町内会等の地域組織の主体的な取組が必要不可欠であるが、多くの自治会・町内会等では、災害時要援護者支援について、十分な理解がないために、民生委員・児童委員が中心となって「災害時一人も見逃さない運動」を展開してきた。
しかし、民生委員・児童委員が中心となって活動を進めているために、地域によっては自治会・町内会等が自身の問題ではなく、民生委員・児童委員の仕事であると考え、トラブルを招くケースが散見された。現在は、民生委員・児童委員の方々に対し、あくまで自治会・町内会等が主体的に取組を行えるようサポートを行うことが民生委員・児童委員の役割であり、自治会・町内会等が民生委員・児童委員に任せきりになるような進め方はしないよう話をしている。
特徴
本来は、行政機関が実施すべき、災害時要援護者支援の必要性と実践に基づいた具体的な取組方法の周知・啓発を、各地区の民生委員児童委員協議会を通じて行い、佐倉市内における災害時要援護者支援活動の推進に一役買っている点が特徴である。
また、災害時要援護者支援とは、「住民固有の役割」に基づく、住民主体での活動であるという方向性を早期に打ち出し、行政機関(佐倉市)に一定の影響を与えている。(行政機関の情報を提供する等の施策は、行政の仕事を肩代わりさせられていると住民が勘違いする可能性がある。)
団体概要
構成人員:佐倉地区民生委員・児童委員35名
(民生委員・児童委員33名(定数34名)及び主任児童委員2名)
民生委員法に基づいて、全国の市町村に設置されている社会福祉組織で、佐倉地区民生委員児童委員協議会は佐倉市を8地区に分けた単位民児協の1組織となります。
委員は、佐倉市の推薦会による推薦を経て、知事の推薦により、厚生労働大臣から委嘱を受けます。
実施期間
平成19年~