車中での避難

自宅が安全でなく、避難所での生活が難しい場合には車中での避難を余儀なくされることがあります。
例えば、平成28年熊本地震では避難所での生活を避けようと、多くの人が車で寝泊まりしました。
車中での避難を行う場合の問題点や注意点などを紹介します。

車中での避難の問題点

車中での避難とは、車の中で避難生活を送ることで、避難所生活よりも過ごしやすいと感じる人が少なくない一方で、次の問題点が指摘されています。

  • 車上荒らしの危険や、ガソリンが入手しにくい場合がある。
  • 排気音や排ガスが気になり長時間エアコンをかけられない。
  • エコノミークラス症候群、一酸化炭素中毒など健康上の危険がある。
  • 避難者として把握されにくいため、支援情報などを把握しにくい。

※エコノミークラス症候群(深部静脈血栓症/肺塞栓症)食事や水分を十分とらない状態で、車の中など狭い座席で長い間同じ姿勢をとっていると、血行不良が起こり、足にある静脈に小さな血のかたまりができやすくなります。急に立ち上がって動いた時などに、血のかたまりが足から肺や脳、心臓に飛び、血管を詰まらせ、肺塞栓や脳卒中、心臓発作などを起こす恐れがあります。

車中での避難を行う上での注意点

寝るときはエンジンをかけっぱなしにしないようにしましょう。

一酸化炭素中毒に陥り命を落とす危険性があります。
寒いときは着込む、断熱素材のシートで覆うなどの対策をとりましょう。

眠るときはできるだけ水平にしましょう。

エコノミークラス症候群を発症する可能性があることから、車内が狭い場合は、隙間をタオルで埋めるなどして、寝る場所が水平になるよう工夫しましょう。

周りに誰もいない場所には極力停めない。

車内で寝ているときは無防備な状態となる場合に、車上荒らしやイタズラにあう可能性があります。人気のない暗い場所での駐車は避けた方が良いでしょう。

車中での避難でエコノミークラス症候群を防ぐポイント

足首などの運動をしましょう。

  • かかとの上げ下ろし・ふくらはぎを軽く揉む・足の指を開いたり閉じたり、座ったままで足首をまわしたり、足を上下につま先立ちしたりしましょう。
  • できるだけ歩くように心がけましょう。

水分を十分にとりましょう。

ただし、ビールなどの酒類やコーヒーの飲みすぎは、飲んだ以上に尿を出すことがあるので、逆効果となることがあります。

できるだけゆったりした服を着て、からだをしめつけないようにしましょう。

たばこは、血管を収縮させるので、注意が必要です。できれば禁煙しましょう。

参考:福岡県「避難生活ハンドブック」、静岡県「避難生活の手引き」、名古屋市避難所運営マニュアル資料