応援メッセージ
あれから早や二年が来ようとしています。激震から起こされた大津波があっという間に人と家を飲み込んでいく様子をテレビで見て唖然とした記憶が今も克明に甦ってきます。そして、その後に起きた忌まわしい原発事故の恐ろしさ、二重、三重の災害に東北の皆様の苦しみを感じる時、すでに過去となった阪神・淡路大震災の経験を鮮明に思い起こしました。十八年も前に起きた阪神・淡路大震災は、小学生、中学生、高校生の子供たちは他所の国の出来事のように思うでしょう。実際、私の住んでいる神戸の街はすっかり復興し、以前にも増して美しくなったように思います。しかし、被災した人達や家族を失った人には心の奥深くに当時の体験が残っています。私も父を亡くしました。家の倒壊により屋根や壁土に埋まって、口いっぱいに瓦礫を含んで亡くなっていた父の姿は、未だに私の脳裏から薄らぐことはありません。その時のショックと悲しみは、心の奥深く沈み、当時十年ほどは震災の話さへ避けるようになっていました。あるきっかけで、震災の体験を小学校で話して欲しいと言われ、講話をしました。その体験が私自身の心を少し軽くしてくれました。亡くなった父が後押しをしてくれたと思うようになりました。そしてこの大きな震災という出来事を風化させないようにして欲しいと言っているように思え、私の使命として語り継いでいくことを決心させてくれました。
あれから十八年、しかし、昨年もまた東日本で同じように大地震が発生し、さらに大きな被害も出て悲しみ、苦しむ人が多く出ました。日本は地震国です。いつ又同じ様な事態がどこで起きるかわかりません、少しでも体験した人達の語りが「命は大切」だということを多くの方々に解って戴けるか、心を込めて語り続けて行きたいと思います。
東北の皆様!勇気と粘り強い気力でこの困難を乗り越え、必ず復興を成し遂げていただきたいと心より応援しています。
(平成24年12月)