3.消防防災に関する情報通信の枠組み
(フレームワーク)
3-2 情報の活用(運用の標準化)
(1)応急対応の標準化(ICS:Incident Command System)
ICSは、米国において開発され、普及している応急対応における命令系統や管理手法の標準化で、ロサンゼルス市消防局が自らの消防隊の運用に導入し、カリフォルニア州緊急業務部が全州に広げた。 連邦危機管理庁(FEMA)もカリフォルニア州に習い、全米的な制度とするべく連邦応急対応計画に取り入れている。 ICSによって、以下に例示する対応組織や対応業務の標準化が図られている。
○対応組織の標準化
応急対応に係る組織(EOC:災害対策本部)を、5つの機能(指揮、実行、計画、後方支援、財務・総務)に標準化
○対応業務の標準化
応急対応に係る業務(ESF:Emergency Support Functions)を15分類し、それぞれの業務内容を明らかにするとともに、業務分類毎に担当省庁・部局と責任機関を明確化
○調整範囲(連絡・調整ルート)の明確化
(2)ISO22320に基づく危機管理
ISO22320 は原題を Societal security-Emergency management- Requirements for incident response (危機管理“危機対応に関する要求事項” )とする、 緊急時の単一組織の指揮調整のあり方、危機対応にあたっての情報処理のあり方、そして組織間の協力連携のあり方について規定した国際規格である。 TC223“Societal Security(社会安全) ”による最初の国際規格として 2011 年 11 月に発行された。さまざまな組織が効果的な危機対応を実施するため,以下の3点を必要最小限の要求事項としてまとめている。
① 災害・危機対応にかかわるそれぞれの組織における「指揮・統制(Command and Control)」に関する組織体制および手続きの規定に関する要求事項
②災害・危機対応を進めるために必要となる「活動情報Operational Information)」を効果的に活用する情報処理のあり方に関する要求事項
活用情報処理の6ステップ
③災害・危機対応にかかわる組織間の「協力と連携(Cooperationand Coordination)」に関する要求事項
平成25年10月20日には、日本工業規格JISQ22320(社会セキュリティ-緊急事態管理-危機対応に関する要求事項)として、制定・公示されている。
- 1.はじめに
- 2. 消防防災に関する情報通信の役割と課題
- 3. 消防防災に関する情報通信の枠組み
(フレームワーク) - 4. おわりに