コロンビア地震
III 国際緊急援助隊(JDR)現地本部対策会議と各国救助チーム国際会議
1 現地本部
JICAの現地本部は、軍の駐屯地であるバタジョン・カラルカ内の幹部用オフィス棟の一室を確保して設置した。これは、街全体が被害を受け、電気の供給等も不安定な上に、一部地域では治安の悪化も懸念される事を踏まえ決定されたものである。
場所の確保は1月28日中に行われたが、その後、インマルサット(衛星電話)や、必要なOA機器(パソコン・ファックス)等を設置し、日本との通信回線は、現場活動を開始して3日目の1月29日になって確保できた。
2 対策会議等
国際緊急援助隊救助チームとしての対策会議は、出発後の飛行機内、乗り継ぎ時のロサンジェルスのハッシュエンダホテル内などで幾度となく行い、現地の状況や活動体制等について検討された。活動開始後、宿舎出発時等に、活動方法等に関する打合わせ会議は実施していたが、迅速な活動着手を優先したため、十分な時間等が取れなかったこと、現地の対策本部が混乱していたため、JICAの現地本部が設置できなかったこと等の理由により、国際緊急援助隊救助チームとして全体の対策会議を持ったのは、1月28日の夜であった。
- (1) 第一回対策会議(1月28日 19時50分~20時50分)
現地JICA本部を設置することとなったバタジョン・カラルカ内の一室において、団長・副団長・隊長が出席し、現地入りして初めての対策会議を開催し、今後の活動予定・後方支援体制の整備・1日遅れで現地入りした医療チームについて話し合われた。
その中で、外務省白川団長から「日本の救助チームの派遣に関しては、その迅速さが非常に高い評価を受けている。」「活動予定に関しては、シビル・ディフェンスの要請に基づき決定する。」「29日9:00から、コロンビア側と救助活動を行っている関係各国との会議が行われる予定であるので、30日以降の予定は、その会議結果をもって決定する。」などの指示があった。 - (2) 第一回関係各国国際会議(1月29日 9時00分~10時30分)
コロンビア地震災害に伴い、救助活動を実施している、日本・アメリカ・メキシコ・フランス・ドイツ等の関係各国による、活動方針を決定するための国際会議(世界救助チーム会議)が、シビルディフェンスの本部で開催された。
席上、コロンビア側から「発災後約4日が経過し、時間的に生存者の救出は困難であると思われるので29日をもって、救助活動に関しては終了としたい。本日(1月29日)21時から最終決定のための国際会議を再度開催したいので各国は、それまでに調整をお願いしたい。」趣旨の方針が示された。 - (3) 第二回対策会議(1月29日 19時50分~20時50分)
活動報告及び国際会議に関する方針を決定するために、2回目の対策会議がJICA現地本部で開催された。
活動方針については、援助要請国のコロンビアの方針に従うこととし、救助活動が終了となった場合は、日本の国際緊急援助隊救助チームとしては、活動を終了し、28日にアルメニア入りした医療チームに活動を引き継ぐことが決定された。 - (4) 第二回関係各国国際会議(1月29日)
第二回の関係各国国際会議において、コロンビア側の責任者から、第一回の方針どおり、各国の救助チームの撤収が要請された。
これにより救助チームは29日をもって活動を終了し、医療チームに活動を引き継ぐこととなった。 - (5) 第三回対策会議(1月29日 22時00分~23時00分)
国際会議における救助活動終了の決定を受け、活動終了に伴う対策会議を実施した。
主に撤収計画に関して検討を行い、大まかな予定が以下のとおり決定された。
● 1月30日 | 資器材の撤収、アルメニアを離れる準備 |
● 1月31日 | 軍輸送機によりボゴタへ(ボゴタ泊) |
● 2月1日 | コロンビア政府国家災害対策本部副局長への報告 コロンビア外務省アジア・アフリカ・オセアニア局長への報告 コロンビア日本大使へ活動報告等実施 |
● 2月2日 | ボコタ・宿泊ホテル内において救助活動内容等の検討会議を開催 コロンビア出国 アメリカ・ニューヨーク経由(日付変更線通過) |
● 2月4日 | 日本帰国 |
第一回JDR対策会議の状況
第一回関係各国国際会議の状況
(写真中央で発言しているのが白川団長)
(手前が北出副団長)