トルコ共和国西部地震災害
災害の概要 派遣要請等 活動概要 主な使用資器材
生存者の救出活動状況 派遣隊員及び部隊編成等
今後の課題と検討事項 総括所感
3.活動概要
国際緊急援助隊救助チームの第一次派遣隊は、現地時間8月18日14時25分にイスタンブールに到着した。この時点で、トルコ当局からの要請により、ヤロヴァ市での救助活動が決定した。ヤロヴァ市への移動はバスとフェリーを乗り継ぎ、長い道程を経て出発から約28時間後の現地時間8月18日19時45分に同地の災害対策本部に至った。現地の災害対策本部と協議の上、第一の活動拠点がカラマンシティと決定され、8月18日20時00分に当地に出場し深夜から長期に及ぶ救助活動を開始した。
現地災害対策本部の置かれた建物
翌朝、19日5時00分第二次派遣隊がヤロヴァ市に到着、本部テントを設営後、間もなく対策本部からの出場要請がかかり、第一次派遣隊が現地対策本部に戻った時には大半の隊員が出場中で、残留していた一部の隊員と合流した。その後も断続的に続く救助活動要請に順次対応したことにより、両隊が合流できたのは、19日15時28分を過ぎた頃であった。ようやく総勢39名(JICA現地調整員6名を含む)の国際緊急援助隊救助チーム全員が顔を合わすこととなり、部隊編成を確立し、活動体制が整ったのは2日目の活動が終了した時点であった。
活動環境は、日中の気温が37度にも達する炎天下で、砂埃と悪臭(腐敗臭等)が漂うなど劣悪な状況であった。また、どの現場も倒壊危険や落下物などの危険かつ不安定な状況で、特に時折襲う余震に救助活動の中断を余儀なくされるなど、困難な活動を強いられた。このような状況の中、二次災害防止に十分留意しながら、「サーチ(検索)活動を重点とした生存者の救出」を活動方針に掲げ、21ケ所での活動で12名を発見し、生存者1名を含む6名を救出することに成功した。
1 活動期間
活動期間
平成11年8月18日20時00分~8月22日8時00分
(8月19日 2時00分~8月22日14時00分)(日本時間)
延べ活動時間84時間(3日14時間)
2 活動区域及び要救助者の発見・救出状況
活動区域及び要救助者の発見・救出状況
トルコ共和国ヤロヴァ県ヤロヴァ市及びその周辺 4地域21ケ所
12名発見・6名救出(生存者1名を含む)
- (1) ヤロヴァ
15ケ所 5名発見・3名救出(生存者1名を含む) - (2) カラマンシティー
3ケ所 5名発見・3名救出 - (3) チフトリックキョイ
3ケ所 2名発見・0名救出 - (4) ジャラントケント
1ケ所 0名発見・0名救出
カラマンシティ
ボーカメによりサーチする隊員
ディスコでの要救助者の救出
ディスコでの懸命な救助活動
ディスコでの救助状況
カジオスマン・パシャマハ地区
レスキューツールを活用し救助する隊員
長時間の活動の末、救助に成功
ヤロヴァ地区
他国チームと共同した活動
関係者による検索結果の確認
チフトリックキョイ地区
手分けをしてサーチする隊員
シリウスの測定結果の確認
ヤロヴァ地区
トルコ軍と協力しての活動状況
救助犬と連携した活動
救助活動を取材するTVクルー
狭い箇所もくまなく検索する隊員
削岩機を活用しての救助活動
検索結果を付近住民に説明
投光器を用い深夜の救助活動
生存者に望み託し活動する隊員
3 活動体制
- (1) 人員等
国際緊急援助隊39名、他に外務省関係者3名、調教師2名・災害救助犬2匹、通訳7名(日本人ボランティア1名を含む)、運転手6名 - (2) 車両
6台(中型バス1台、小型バス2台、トラック1台、乗用車1台) - (3) 負傷者の救護及び隊員の健康管理体制
負傷者の救護及び隊員の健康管理については、救急救命士2名(東京消防庁1名、海上保安庁1名)で対応することとした。なお、重症者等の場合は、指揮本部(活動拠点)の近くに設置されていた、野戦病院で対応する計画をとっていた。
特に、隊員の健康管理については、個々の活動終了時及び待機時等に健康状態、受傷状況を確認し、必要な救急処置及び医薬品等を投与した。
野戦病院
現地対策本部での情報収集
夜営の準備
救助現場へ向かう隊員