台湾地震災害
地震の概要 被害状況 派遣要請 派遣期間等
派遣隊員等 活動概要 主な救助活動資器材
検索活動状況 活動完了 派遣別の内訳
個別活動状況(1) (2) (3) (4) (5) (6) (7)
今回の派遣の特徴
11. 個別活動状況
(2) 9月23日 南投県竹山郷及び集集郷での活動
23日は、南投県災害対策本部からの要請に基づき、多数の逃げ遅れが残されているという同県竹山郷及び集集郷で活動した。第1・2中隊は、竹山郷の現地対策本部が置かれていた南投県消防第3大隊に移動し、現地対策本部からの情報と要請に基づき、本部から南約15kmの桶頭山という山間部の集落で住宅が倒壊し、8名が生き埋めになっている現場に対する活動を開始した。現地へは大型バスやトラックが入れないため、まず、小人数の調査隊を編成し、ボーカメ、シリウスを携行して軍のヘリコプターで空路で現地入りすることとし、片や、1中隊2小隊を陸上部隊として選抜し、個人装備とストライカーや簡易救助器具等の資機材を携行して、マイクロバスで行けるところまで行き、後は徒歩で現地入りするという作戦をとった。対策本部に残った隊は地域を分担して、竹山郷の街の被害状況調査を行ったが、倒壊建物の救助活動はほぼ現地当局やボランティアの手によって行われた後であった。
第1・2中隊からの選抜小隊
徒歩で桶頭山の集落へ向かう隊員
一方、第3中隊は、別行動で南投県集集郷に出場し、8時40分、1階部分が座屈した耐火4階建て住宅の現場に到着し、内部に1名の要救助者がいるとの情報に基づき、検索救助活動を開始した。その後1階東側で要救助者の頭部の一部を発見し、地元の重機と連携し、倒壊危険を排除しながら、12時50分男性1名を救出した(死亡)。この現場での活動完了後、3中隊も竹山郷現地対策本部に向かい、1・2中隊と合流した。
13時11分、軍のヘリで桶頭山の集落に到着した調査隊は、即刻、集落の被害状況の調査を開始したが、倒壊建物からの救助活動はすでに完了しており、傷者を医療機関のある街に空路で搬送する準備段階に入っていた。現地指揮者からの要請により調査隊は急遽、これら傷者搬送の活動を開始し、頚椎損傷の疑いのある89歳女性を小型トラックの荷台に乗せ、座位のまま固定し頚椎には細心の注意を払いながらヘリポートまで搬送した。この頃、陸上部隊の第1中隊2小隊は、土砂崩れの発生していた地点でマイクロバスを断念し、すでに徒歩で入山を開始していた。途中、川に架かっていた橋が地震により完全に破壊されていたため、竹等で作られた仮設の橋を渡河するなど、悪路の中、また30℃を超す高温、多湿の中で救助資材や個人装備等の重量物を携行していたことによる体力の消耗と戦いながら、一路、桶頭山の集落を目指し、野営を覚悟での行軍であつたが13時40分集落の入り口に到着した。情報収集の結果、要救助者は全て地元の手により救出され、ヘリで病院へ搬送されたことから、活動要なしとして引き揚げることとなった。
倒壊して通行不能となった道路
空路で救助に向かった軍のヘリ
なお、空路で先着した調査隊のイリジウム衛星電話により日本の自治省消防庁と竹山郷の現地対策本部を介して、陸上部隊のイリジウムに引き揚げ命令を伝達することも併せて行い、広域に分散して出場した活動部隊の掌握に努めた。
空路で戻った調査隊及び陸上部隊が帰着するのを待ってから、17時、全隊集結完了の後、日本隊は竹山郷現地対策本部を引き揚げ、この日の宿泊地となった台中県台中市に向かった。この日の活動については、集集郷の男性1名を発見・救出した。(死亡)
なお、多数の要救助者有りとの情報と要請に基づいて、可能な限りの部隊活動を行ったが、ほとんどが地元の手によって救助活動が完了している現場であった。