平成9年10月22日インドネシア森林火災

(第ニ次国際緊急援助隊調査チーム) 総括所感

インドネシア森林火災

派遣期間~活動概要 活動の経過 総括所感 活動写真

(第ニ次国際緊急援助隊調査チーム) 総括所感

7.総括所感

自治省消防庁救急救助課
課長補佐 林 栄太郎

  • (1) インドネシア森林火災の被害に対する各国の援助は、人的・物的にも積極的に行われているが、我が国の今回のヘリコプター2機を含めた援助隊員の派遣とその成果については、インドネシア中央政府関係者やランポン州政府関係者から深甚なる感謝の意が度々表明されており、今回の援助活動は十分な評価を得ることができたものと確信します。
  • (2) 我がチームがモニタリングした結果は、即日サコラックやBPPT等に写真を添えて提供され、インドネシア側はもとより他の国の援助チームにも活用されておりました。また、この調査結果は今後の防災事業や植林事業等に役立つとの政府関係者のコメントが得られており、ランポン州全域におけるモニタリングの終了によって撤収することとしましたが、全調査の終了とその結果の情報提供という形を取ったことにより、インドネシア側の直接的な不満はないものと思います。
  • (3) 豪州空中消火チームとの2日間にわたる連携活動は、空中消火の手法の一つとして効果的、かつ有意義な連携でありました。
    また、インドネシア側が、我々が携行したモニタリング機器や赤外線ビデオカメラによるモニタリングの手法に強い関心を示し、今後その技術を導入したい旨のコメントが多く出されるなど、日本の消防装備と技術について高い評価を得ることができたと推察します。
  • (4) 今回のチームは、消防ヘリコプター2機と東京、名古屋、大阪、横浜の消防隊員を中心に編成され、高い志気と団結によって任務を無事故で完遂することができました。隊員各位のすばらしい働きに対し感謝しています。
    又、団長をはじめJMTDR、JICAの各団員には大きな役割を果たしていただきましたし、現地の森林火災予防プロジェクトや在インドネシア日本大使館、JICAインドネシア事務所の皆さんのサポートが有効に作用し、今回のオペレーションがよりスムースに運んだことについても感謝しています。
  • (5) 森林火災に対するインドネシア政府等の取り組みについて、その詳細を把握することはできなかったが、中央に災害全体の把握と各国援助の調整等を行うBAKORNAS(国家災害対策本部)が組織され、又、航空機を使用した外国援助はBPPT(技術評価応用庁)がその窓口として機能していました。特にBPPTは我がチームのオペレーションに当該職員を随行員として派遣し調整に当たらせる等積極的な姿勢を伺うことができました。
    また、ランポン州では、州副知事の下にSATKORLAK(州災害対策本部)が組織され、県、郡、村にも同様の組織が設置されていました。我がチームは、州レベルでの連携となり、当該本部の協力も得ることができ、現地における任務の遂行に特段の支障は見られませんでした。
  • (6) 今時のインドネシア森林火災は、例年にない規模に拡大し、スマトラ島及びカリマンタン島などで多くの森林原野が焼失し、又、煙害も依然として広範囲に及んでおり、その終息は本格的な雨期が到来しない限り困難とのインドネシア災害担当者の話もありました。
    森林火災に対する現地の消火活動は、火災地点へのアクセスや消火用水の確保等厳しい条件の中で懸命に続けられていますが、装備や人員規模等から判断し、完全鎮火は相当難しい状況下にあるのが実態です。
    毎年発生する森林火災の拡大に至った原因に着目し、野焼き・火入れ等の管理体制のあり方を含め消火活動等の実効性ある対策の確立が求められます。
    なお、森林が焼失し地肌をむき出した山間地は、明らかに保水能力を失っており、雨期到来時の集中豪雨による二次災害の発生も懸念されることを敢えて付言しておきます。