インドネシア森林火災
派遣期間~活動概要 ボルネオ島上空の濃煙
インドネシア森林火災災害に感じたこと 活動写真
(第一次国際緊急援助隊専門家チーム) インドネシア森林火災災害に感じたこと
7.インドネシア森林火災災害に感じたこと
(救急救助課 林 栄太郎)
我々チームは、消防対策と医療対策の専門家各2名と外務省、JICAの2名の計6名の構成で、消防対策の専門家として山下邦博消防研究所第一研究部長と私の参加でした。我が国のインドネシア国の森林火災と煙害に関する報道は、9月16日ジャカルタで開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)環境相会議の冒頭スハルト大統領が行った煙害に対する近隣諸国への謝罪によって、大きく報道されるところとなりました。我々が外務省と緊急援助の協議を開始した時点において、スマトラ、カリマンタン、スラウエッシュの各島を中心に火災と煙害による被害が拡大し、既に森林の焼失面積が30万ヘクタールを超えるなど、事態の収束を予測できない規模に拡大していました。
インドネシア到着後の我々の行動は、スマトラ島やカリマンタン島の全土を覆った煙霧による飛行場の閉鎖によって、大きな制約を受けることとなり、現地の火災現場の調査や消防対策に関する協議がごく限られたものとなってしまいましたが、現地の実行部隊に対する個別補足的な技術指導に加えて、明らかに不足していた可搬式動力ポンプ、背負い式消火水嚢(ジェットシューター)等の消火機材の追加援助を要請し、その実現を図ることができましたし、数項目の森林火災消防対策を調査結果としてまとめ現地政府関係者に提言することができました。十分とは言えないまでも短期間の活動としては、相応の評価をいただけるものと考えています。
インドネシア国の森林火災と煙害は、植林やプランテーション経営のために習慣的に行われる火入れ・焼き畑の火が原因と言われています。その結果、毎年多くの自然林の焼失と多くの住民の生活と健康が脅かされている訳です。
非常事態が宣言され、厳しい規制が敷かれているにもかかわらず、我々がジャカルタとスマトラ島ジャンビ市の往復途上、焼き畑の火が原因と思われる数カ所の延焼火災に遭遇しましたし、第二次派遣隊にも加わり、通算1ヶ月以上現地スマトラ島に滞在し、規制を管理できない難しい現実を聴くことができた私としては、一種のやり切れなさと憤りを感じないわけにはいきませんでした。
今時のインドネシア森林火災災害は、今後我が国が行う国際援助のあり方に一石を投じる災害であり、かつ、緊急援助活動の手法について考えさせられた災害であったと思料します。勿論、被災国であるインドネシアのこの種災害に対する更なる取り組みを期待することは当然のことであります。