平成17年10月9日パキスタン・イスラム共和国地震災害

国際緊急援助の課題

パキスタン・イスラム共和国地震災害

地震の概要 被害状況 派遣要請・出発 派遣期間等
派遣隊員 活動の詳細(1) (2) (3) (4) (5) (6)
捜索救助活動中の環境 国際緊急援助の課題
おわりに

8.国際緊急援助の課題

  • (1)現地への迅速な到着
     これまでも問題点として指摘され、また、マスコミ等でも批判されていましたが、今回の派遣についても政府専用機等を活用することはできず、定期運航の一般民間機に搭乗して現地へ向かわざるを得なかったため、派遣決定が迅速であったことに比較して現地への到着が遅くなったことが悔やまれます。
     生存者救助を任務とするのであれば、まず、直行かつ迅速に現地へ向けて飛び立てるよう、政府専用機・自衛隊機・チャーター便等の活用など、早期に活動を展開するための運航体制の構築が急務であると考えます。
  • (2)捜索救助活動地域の確保
     今回の派遣において、我々に割り当てられたのは辺境地のバトグラム村及びその周辺であり、崩壊したのは大部分が木と土と石で建てられた家屋でありました。そのため、下敷きになった場合には隙間が生じず短期間で死亡することが多く、今回の派遣でも、結果的に見れば我々が到着した時点で生存している要救助者は既になかったと考えられます。
     都市型の生存者救助隊である我々の活躍場所としてふさわしい地域を確保するため、現地への迅速な到着とともに、現地の日本側政府機関等による被災国政府や国連機関等への接触・働きかけが必要であると考えます。
  • (3)捜索救助活動のための情報収集
     今回の派遣においては、事前に現地の情報収集がなされていなかったため、まず住民等から聴き取りを行った上で、先遣隊が活動候補サイトに調査に赴くことが必要となり、実際の捜索救助活動への着手に若干の遅れが生じた感が否めません。
     到着後の情報収集も我々の任務であるとは言えますが、直ちに捜索救助活動を展開するため、少なくとも最も重要な初日の活動のための情報収集については、事前に現地スタッフが行うことも検討されるべきであると考えます。