平成5年12月13日マレーシア・ビル倒壊災害

救助活動概要

マレーシア・ビル倒壊災害

はじめに マレーシア・ビル倒壊の災害状況
国際消防救助隊の構成 行動日程
救助活動を取り巻く環境 救助活動方針
救助活動概要 各国救助隊の状況 総括 最後に

6.救助活動概要

  • (1)12月13日、到着初日の活動は、地上に押しつぶされている棟(図のC棟)の検索救助活動に着手し、車両数台を収容したものの生存者は発見されなかった。
  • (2)14日午後以降は、地上に横たわっている棟(図のB棟)を中心に検索救助活動へと移行し、当初はマレーシア隊の支援を受けながら、日本救助隊のみで活動を行っていたが、後半は日本救助隊、シンガポール隊、そして現地のマレーシア消防隊によりそれぞれ役割分担区域を定めたうえで共同による人命検索救助活動に着手した。

「パワーショベルを使用しての障害物の除去」

  • (3)この役割分担に基づき救助活動を実施し、時には各国救助隊とも燐棟(ブロックB及びCの建物)の倒壊危険により一時避難を繰り返すなど緊迫した状況の中で昼夜を分かたぬ救助活動となったものである。
  • (4)特に日本救助隊は、二次災害に配慮しながら連日とも各階層毎にファイバースコープをはじめとし、削岩機、レスキューツール等を駆使した懸命の救助活動を実施した。
    更に、地中音響探知機を使い再度の生存者の確認等検索漏れの防止を含め慎重を期するなど、あらゆる資機材を使いながら救助活動を展開した。
  • (5)12月14日以降の救助活動サイクルは、13日の2班に分かれての2時間交替から隊員の労務・健康管理を考慮して4個小隊の勤務シフトに編成替えし、1個小隊2時間の活動とした。
    なお、14日の活動は、B棟の4階、7階を重点的に検索したが生存者は発見されず。
  • (6)15日の活動の結果としては
    • 1: B棟5階部分については、マレーシア消防隊と障害物を排除しながら生存者の確認を行うが発見にいたらず。
    • 2: 12時50分頃シンガポール救助隊が9階部分から遺体(頭部のみ)を1名発見日本隊とともに収容する。
    • 3: 「7階部分で異臭がある」とのシンガポール救助隊からの要請によりファイバースコープを使用して確認を行うが生存者は見当たらず。
    • 4: 12階(最上階)部分についても異臭が強いためファイバースコープを使用して確認を行うが見当たらず。

  • (7)16日の活動の結果としては
    • 1: フランス救助隊の救助犬を活用し、5,6,12階を計3頭により検索したところ5階部分の中央階段付近に反応を示した。直ちに削岩機及びファイバースコープを使用して確認作業を行ったが特に生存者の確認には至らなかった。
    • 2: 6時30分頃、フランス救助隊から北側倒壊建物の下敷きになっている水槽タンクの内側付近に2名ぐらい生存者がいる模様との報告がなされる。各国は一人でも生存者を救出するため作業を中断し、フランス救助隊に協力することとなった。
  • (8)17日の活動の結果としては
    • 1: 5時30分頃、フランス救助隊は救出のため作業を進めているトンネルが崩壊する危険性が生じてきたことから作業断念終了することとした。
    • 2: 最後の手段としてマレーシア消防隊により直径80cm程度の銅管をドリルでB棟4、5階部分の横腹に穴をあけトンネルをつくる作業を開始したが、掘削作業は鉄筋やコンクリート等で妨げられドリルによる挿入が遅々として進まず最終的に掘削作業を断念せざるを得ない状態に追い込まれた。

「パワーショベルを使用しての障害物の除去」