エルサルバドル地震災害
地震の被害状況 国際消防救助隊の構成等
携行救助資機材 出発までの動き
被災地での活動状況(1) (2) (3) (4)
各国救助隊の体制 第2次派遣隊
現地での新聞報道及び反響 帰国後の動き
外務省の支援
体験記(1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9)
第2次派遣隊
■ 10月15日の午前、エルサルバドルの木本臨時代理大使から、次のような趣旨の報告が外務省に入電。
14日 早朝、わが方救助隊員と協議した結果、同隊としては、疲労度もかなり見うけられるところから、可能ならば応援の救助隊員の派遣を願いたい。派遣される場合には、現場の状況にかんがみ次の資器材の携行を願いたい。
(1)電気ハンマードリル
(2)30メートルロープ
(3)削岩機
(4)エンジン・カッター
(5)鉄線鋏
(6)携帯用ガスコンロ
■ 自治省消防庁は、外務省と協議のうえ第二次の消防救助隊(3名)を派遣することとし、依頼のあった資器材を携行して同日中に成田発の航空機に搭乗することを前提とした派遣要請が、関根消防庁長官から横浜市(独古消防局長)に電話でなされた。
■ 第二次派遣隊は、21時30分、新東京国際空港から出発した。
10月16日(木)(現地5日目 快晴 日中30℃以上)
■ 日本救助隊のミーティング
- ・ 応援隊が到着する予定であることの確認(横浜市消防局3名及び増強資器材)をする。
- ・ 現場の状況、各国の対応等を総合的に判断して17日いっぱいは救助活動を行うこととする。(木本臨時代理大使等と協議を要する。)
- ・ 疲労が蓄積しているので、事故防止に留意する。
■ 活動方針
- ・ 前日と同様に救助活動を実施する。
■ 活動内容
- ・ 7時20分、作業を開始し、前日同様アメリカ隊が重機を活用し、日本隊は屋上を3メートル四方に割る作業を行った。
- ・ 9時25分、待望の横浜市消防局の救助隊員3名が到着した。ただちに、ルーベンダリオビルの状況の説明を行うとともに、現場を確認した。
- ・ 10時00分、横浜市消防局3名が救助活動に参加した。横浜隊の応援を得て、士気が大いにあがるとともに、状況をみながら1~2名ずつ小休止できる余裕も生じた。
- ・ 12時45分、現場に増強資器材が到着した。
- ・ 第1ビル西側の屋上部分の半分を取り除いた。(図5の部分)
- ・ 使用資器材の一部としてスイス隊の削岩機とエンジン・カッターを活用していたが、スイス隊は、徐々に資器材を撤収し、午後には全面撤退した。その後は日本隊の資器材が中心となった。日本隊は、増強した削岩機、エンジン・カッターを自ら使用するとともに、各国の救助隊員に使い方を教えるなどして、19時00分過ぎまで救助活動に従事した。
■ シュルツ米国国務長官、松永駐米大使の現場視察
10時00分、シュルツ米国国務長官、松永駐米大使、オルティメナIDB総裁、駐米英国大使がエルサルバドルに入り、13時30ごろルーベンダリオビルの現場を視察され、古内室長を通じ、日本隊に対する松永大使のねぎらいと激励の言葉が伝えられた。(ドゥアルテ大統領は、シュルツ国務長官の前で松永大使に対し、日本隊の活動に賞賛と感謝の意を表明した。)
■ 各国救助隊の打合せ
18時00分からホテル・プレジデントで行われるというので古内室長が出席したが、実際はバルディ氏とスイス、イタリア、フランス、スペインの代表者による雑談が行われたに過ぎなかった。(アメリカ、メキシコ、イギリス等は不参加であった。)
■ 国際緊急援助チームのミーティングを20時00分過ぎから大使館で行った。
- ・ 帰国の時期について、木本臨時代理大使は、ドゥアルテ大統領が「生存の期待をもっているが、すでに災害発生から5日以上が経過し、現在、生存者がいる確率が少ない所では、ダイナマイトで破壊している」旨を言明していること、各国救助隊が撤退の準備を進めていることなどから、緊急援助チーム全体の帰国を10月18日としたい旨の判断を示した。協議の結果、医療チーム等も含めた全体の帰国を18日とすることで意思統一がなされた。
- ・ 横浜市消防局隊から、同隊が携行した資器材については、取扱い指導のうえエルサルバドルに提供する旨の任務を帯びていることが伝えられた。木本臨時代理大使は資器材の提供を正規の手続きで行うためには、時間的な制約から直接大統領に申入れする以外にないと判断し、直ちに大統領官邸に出向きその旨の申入れをした。その結果救助資器材の実地指導及び引渡し式を翌日の15時00分に、ルーベンダリオビルの救助現場で行うこととされた。
10月17日(金)(現地6日目 快晴 日中30℃以上)
■ 活動方針
- ・ 7時00分、作業を開始した。横浜市消防局隊が携行してきた削岩機、エンジン・カッターが、この日の救助活動で、きわめて有効に使われた。
- ・ 13時40分及び14時20分に、遺体を各1体発見し、収容した。
- ・ 10時00分、エルサルバドルの消防職員約10名が救助活動を行っていたので、削岩機、エンジン・カッターの実践的な指導を17時00分まで実施した。
- ・ 前日、大統領へ直接申入れしたにもかかわらず、資器材の引渡しを受けるべき政府機関の代表者は、結局現場に姿を見せなかった。木本臨時代理大使は前日の申入れを破棄する旨を宣言した後、改めてエルサルバドル消防隊に資器材の供与を行うことを宣言し、現場に来た消防機関の高官(次長)を呼び、確認のうえ引き渡した。引き渡した主な資器材は、削岩機5基、エンジン・カッター2基である。
- ・ 18時00分、エルサルバドル地震災害に係る救助活動をすべて終了し、18時30分撤退した。