昭和61年10月11日エルサルバドル地震災害

各国救助隊の体制

エルサルバドル地震災害

地震の被害状況 国際消防救助隊の構成等
携行救助資機材 出発までの動き
被災地での活動状況(1) (2) (3) (4)
各国救助隊の体制 第2次派遣隊
現地での新聞報道及び反響 帰国後の動き
外務省の支援
体験記(1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9)

各国救助隊の体制

■ 各国救助隊の編成は、消防職員が主力となっていた。特にスイス隊は、3交替制で24時間の救助活動体制をとり、かつ、削岩機、ガス溶断機、大型照明器具等多数の資器材を持ち込み、組織的で効率よい体制で救助活動に従事していた。
また、各国とも特色ある救助資器材を携行していた。スイス隊、アメリカ隊、フランス隊は救助犬を活用し、フランス隊、イギリス隊は科学的な資器材(音波探知器、プローブアイ)などを用いて検索救助にあたっていた。
日本の救助隊のファイバー・スコープ及びレスキュー・ツールは、各国救助隊が高い関心を示した資器材であった。

10月15日(水)(現地4日目 快晴 日中30℃以上)

■ 7時10分現場到着、スイス隊、フランス隊は、ルーベンダリオビルの現場には見えなかった。しかし、前日、日本隊が作業を行っていた箇所(図5)が夜のうちに更に掘り下げられており、女性のものと思われる多量の頭髪が残されていた。また、アメリカ隊から、この現場は本日からアメリカ隊の方針のもとに救助活動を行いたい旨の申し入れがあった。
8時00分、古内室長と鴇田隊長は、アメリカ隊と救助活動についての打合せを行った。その際、アメリカ隊からスイス隊、フランス隊が撤退した旨の説明があった。
(スイス隊、フランス隊は救助犬、検索資器材ソナー(音波探知器)による検索及び削岩機等を使用したトンネル方式の救助活動を実施することを主張し、アメリカ隊の重機等を使用した救助活動に合意しなかった。)

■ アメリカ隊の提案した活動方針(すべてがこの方針どおり行われたわけではない。)

  • ・ ルーベンダリオ第1ビルでの救助活動は、日本隊・アメリカ隊・イギリス隊・メキシコ隊で行う。
  • ・ メキシコ隊が建物の安全性を確認し、アメリカ隊が重機(クレーン)を使って壁、床等を除去する。
  • ・ アメリカ隊の救助犬でビル内を検索し、要救助者がいる場合には、日本隊・イギリス隊で救助救出にあたる。
  • ・ 遺体の収容については、エルサルバドルの軍隊が担当する。
  • ・ 情報の公開は、単独では一切行わない。情報を一括管理し、1時間毎に対策本部で公開する。
  • ・ コンクリートを3メートル四方に割り、クレーンで排除する。

活動内容

  • ・ 8時00分、アメリカ隊・イギリス隊・メキシコ隊と共同で救助活動を開始し、図5の部分において削岩機、エンジン・カッターで床面を3メートル四方に切断する作業を実施した。
  • ・ 15時30分、女性1名の遺体を収容した。
  • ・ スイス隊は、いったん撤退したが、その後アメリカ隊との協議により、一部は現場にもどりアメリカ隊の活動に協力した。
  • ・ 19時00分頃現場を引揚げた。

各国救助隊代表者会議
9時00分エルサルバドル国民住宅省において、バルディ同省次官主宰により行われ、日本からはメキシコ大使館の山口一等書記官が出席した。内容は次のとおりである。(どの程度実践されたが疑わしいが、日本隊がルーベンダリオ第1ビルを担当したことは事実である。)

  • ・ 今後、各国救助隊の職務分担区域を次のとおりとする。
  • a 日本隊・アメリカ隊・イギリス隊・メキシコ隊はルーベンダリオ第1ビルを担当し、アメリカ隊が中心となり、日本隊・イギリス隊が協力する体制をとる。
  • b イアリア隊は、ルーベンダリオ第2ビルを担当する。
  • c スイス隊は、クレディサ地区(市東部)を担当する。
  • d イギリス隊は、ルーベンダリオ第1ビルのほかマラガ地区(市東部)を担当する。
  • e フランス隊は、サカミル、モンセラット、リベルタの3地区(市東部)を担当する。
  • f スペイン隊は、官庁街地区を担当する。
  • ・ 市内の通信状況が悪いことから、国民住宅省を対策本部とし、各国救助隊は、情報を収集したら対策本部に報告するとともに、連携を密にする。
    本日以降、各国救助隊の代表が17時00分に国民住宅省に集まり情報交換及び対策検討等の会合を行う。