昭和61年10月11日エルサルバドル地震災害

被災地での活動状況(4)

エルサルバドル地震災害

地震の被害状況 国際消防救助隊の構成等
携行救助資機材 出発までの動き
被災地での活動状況(1) (2) (3) (4)
各国救助隊の体制 第2次派遣隊
現地での新聞報道及び反響 帰国後の動き
外務省の支援
体験記(1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9)

被災地での活動状況(4)

10月14日(火)(現地3日目 快晴 日中30℃以上)

■ 7時00分頃から応援隊の要請をすべきか否かについて日本大使館で協議を行った。主な内容は次の通りである。

  • ・ 隊員の疲労が激しいことを考えると、応援隊を要請すべきであるが、次のような点も考慮する必要がある。
  • a 救助活動期間を決定すること。
  • b 日本から応援隊が到着するまでに30時間かかること。
  • c 援助チームの藤井医師は、この暑さから考慮すると、要救助者の生存期間は、災害発生から、1週間であると示唆したこと。
  • d 各国の救助活動期間と、その動向を確認する必要があること。
  • e 不足する破壊資器材の増強を要請する必要があること。
  • f 救助隊員の労務・安全管理面から、早期に交替要員が必要であること。
  • g 各国の情報を収集する一方、10月11日ドゥアルテ大統領が最大限11日間は生存者の可能性があり、かつ、遺体を傷つけずに収容したいという内容を発表したので、それを念頭におき判断する必要があること。

■ 結論として、応援要請を行うとともに、次の資器材の増強についても要請することを決定した。

  • 電気ハンマードリル(リール付) 1
  • 携帯用ガスコンロ 2
  • 30メートルロープ 1
  • エンジン・カッター 2
  • 削岩機 2
  • 鉄線鋏 2

活動方針

  • ・ 前日の作業を継続する。
  • ・ 現地人から要救助者の情報を入手し、ファイバー・スコープを使用しての検索とビルの亀裂からビル内に進入し、要救助者の検索を実施する。
  • ・ 要救助者に対する救出救護を実施する。

活動内容

  • ・ 現場に到着してみると、昨夜日本隊が作業を打ち切った箇所をスイス隊が引き継いで作業をしていたため(スイス隊は夜間も継続して作業をしていたものと思われる。)同所はスイス隊にまかせ、他の箇所の要救助者の検索活動を行った。

  • ・ 検索の結果、第1ビルの地下室で、1階の梁が地下室の天井をつき破り、その間に挟まれている要救助者(足が見えた)を発見したが、すでに遺体となっていた。
    また、第1ビルの地下室には、1階から地下室に血がしみ落ちており、1階部分に要救助者のいることが予測された。しかし、大量の出血痕と経過日数からすでに死亡していると判断した。さらに第1ビルの2階部分で、天井の梁と2階の床の間に挟まっている遺体を確認した。
  • ・ 10時30分、第1ビルの西側、図の5に妹がいるので救出してほしいと訴えてきた現地人の情報により、この箇所で救助活動を行うことにした。
    救助方法は、削岩機で屋上に1.5メートル四方の穴をあける作業から始めた。
    11時00分、13時00分、15時00分、ファイバー・スコープを使用して同場所を検索した。
    18時30分まで救助活動を実施したが、要救助者を確認できなかった。スイス隊によると、このがれきの下に生存者がいる可能性をスイス隊の犬が示唆したとのことであった。隊員の疲労が著しいため本日は引きあげるが、明日作業を続行する旨スイス隊に申し送り、作業を打ち切った

各国救助隊の動き

  • ・ 13時30分、アメリカ隊は、ルーベンダリオビルで救助活動を行っている各国の救助隊の責任者を集め、救助活動方針について打合せを行った。
    アメリカ隊は、クレーンの活用を提案したが、しかし、スイス隊、フランス隊は、クレーンを使うとがれきが再び崩れる危険性があり、また、救助犬や音響探査装置による検索から、現在作業を行っているがれきの下に生存者がいる可能性があるので、現在の救助方式を継続すべきであると主張した。双方に意見の対立があり、1時間後に再度話合いをするということでこの場は別れたが、結局話合いは行われなかった。
  • ・ スイス隊、フランス隊は、前日、日本隊が活動していた場所(図3)で、フランス隊の検索資器材ソナー(音波探知器)を使用し、救助活動を実施していた。なお、探知器を使用中の現場では、すべての活動を一時中止し、静止させていた。
  • ・ イタリア隊は、重機(クレーン)を使用し、第2ビルの破壊作業を実施した。