1.宮崎県高城町(現在の宮崎県都城市)
足踏式消火器
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旧家に残されている 足踏み式消火ポンプ(郷土資料館) |
この足踏式ポンプは、昭和初期に、消防団用としても活躍したが、一般家庭用として普及したポンプです。
消防団で、これを消防ポンプとして備えたのは、本町では四家消防団でした。しかも、これまでのように消防器具庫での保管ではなく、団員が各家庭で保管していて、火災に備えるという方式で、火災への即応態勢をとったのです。
これよりさきの明治、大正時代の消防ポンプは、大きなつぶろのある腕用ポンプで、十四、五人が前後の横棒をつかみ、ポンプに乗った小頭の拍子に合わせて「えいさ、えいさ」と掛声勇ましく突いて放水し、消火に当っていました。この腕用ポンプ時代が長く続きました。
高城にガソリンポンプが入ったのは、昭和三年(一九二八)の町区が初めてでした。それから十年後の昭和十三年(一九三八)大井手にも導入されました。しかし他はまだ以前と変らぬ手押しの腕用ポンプでしたが、やがて有水、石山地区等にも導入されました。しかし、なにしろ重い機械である上に手引きであり、加うるに道路はガタガタの砂利道で、エンジンはたまにしか使わないこともあって、始動させるのにも苦労するという欠点がありました。
このような時に、四家の消防団はこの足踏式消火器を採用したのです。火災は初期消火が第一です。「火事」と聞きつけると直ちに自転車の後に積んで現場に駆けつける。一台、二台、三台と追加される毎に威力も加わり、初期消火に成功していました。
こうした実績から、町内多くの家庭に備えられ、消火活動に役立った歴史を持つポンプです。
出典:宮崎県北諸県郡高城町(現在の宮崎県都城市)ホームページ
「町の紹介 温故知新バックナンバー」より