事業所と地方公共団体との防災協力

1.事業所の防災協力の重要性と具体例

●事業所の防災協力の重要性

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災害や事故の現場では、初期消火、救出、救護、避難などの活動をより早く開始することで被害の拡大を抑えることができます。

日本火災学会の調査によると、阪神・淡路大震災で生き埋めとなった人や閉じこめられた人のうち9割は自力、家族、そしてその場に居合わせた人々により救出されたと言われています。

こうした素早い対応を行えるようにするためには、自助、公助とともに、地域における住民、自主防災組織、ボランティア、事業所等が助け合う(共助)仕組みの構築が重要です。

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事業所は地域の防災力の担い手として、 ・ 地域に密着し、被災地の近くに所在することから、迅速な初動対応が可能である。


・ 日常的に事業所の活動の中で培った組織力が発揮できる。

・ 専門的な資機材や技術(スキル)を保有し、多様な活動が可能。


といった特徴を持ち、地域の防災力強化のカギを握っていると言えます。

一方、地域経済がいち早く立ち直ることは、その地域に所在する事業所にとっても大きなメリットとなります。

こうしたことを背景に、近年、事業所と公的な災害対策の要となる地方公共団体との間で具体的な協力関係を築く必要性が認識されるようになっています。


●事業所の防災協力の具体例

以下は、事業所の防災協力について、過去の具体例を示したものです。 このように、事業所の持つ潜在能力は大きく、一人でも多くの命を守るため、事業所と地方公共団体との防災協力体制の整備が強く求められています。


事業所の防災協力の具体例

○尼崎市列車事故 平成17年(2005年)4月に発生した兵庫県尼崎市の列車事故では、周辺事業所の従業員等がいち早く現場に入り、順次到着する消防・警察と協力し、大破した車両から被災者の救出、安全な場所までの誘導、応急手当、病院への搬送などを行った。

○東海豪雨 平成12年(2000年)9月の東海豪雨時、被災地にあるスーパーマーケットの協力で、屋上駐車場に地域住民の車を避難させたことにより、車が冠水を免れた。

○阪神・淡路大震災 平成7年(1995年)1月17日の早朝に発生した阪神・淡路大震災(兵庫県南部地震)では、各所で火災が発生した。その際、事業所の自衛消防隊員が地域の消火活動に出動し、住民と協力して火災の拡大を食い止めたほか、事業所の体育館を避難所として提供した。