災害時、事業所は従業員とその家庭、顧客の安全を確保する責任を有するとともに、地域の防災力として欠かせないものと認識されてきています。 また、事業の継続、いち早い再開も地域経済の再建に不可欠です。
行政の助けを待つのではなく、「自らの組織は自らが守る」の原則に基づき、日常から防災対策を検討し、災害に備えましょう。
●事業所の耐震化と事務機器等の転倒防止
以下に示す項目について、対策を進めましょう。
・地盤の調査、事業所の建物の耐震診断及び耐震化
・社内外のガラス、壁、看板、塀等の点検・安全化
・避難通路の確保 ・机、棚、事務機器、OA機器の転倒防止・安全化
・危険物の管理・転倒防止
・生産設備、商品等の防護 ・エレベーター設備の点検、緊急時の救出方法
●事業所防災計画の作成・見直し
事業所の種類や規模等の実態に応じて、事業所防災計画を作成しましょう。また、作成した防災計画は、事業所自体や社会状況の変化に伴い見直しを図る必要があります。
ちなみに、東京都の場合、全ての事業所は、その用途や規模にかかわらず「東京都震災対策条例」に基づき、事業所ごとに防災計画を作成しなければならず、実態に応じて次のような計画を作成することとされています。
【参考】
事業所の区分 | 作成する事業所防災計画等 | ||
---|---|---|---|
条例第10条該当事業所 | 小規模な事業所 | 家庭的な少人数の事業所等 | 基本的な行動や措置をわかりやすく事業所防災計画表として作成しておく。 |
従業員が比較的多い事業所 | 統制のとれた防災対策を行うために、必要な事項や従業員の役割分担などを事業所防災計画に具体的に定める。 | ||
防火管理者を選任する義務のある事業所 | 事業所防災計画に規定すべき事項を消防計画に定める。 | ||
大規模な危険物施設 | 事業所防災計画に規定すべき事項を予防規程に定める。 | ||
第11条 | 防災上重要な施設 | ガス、電気、鉄道、通信等知事の指定する事業所は、事業所防災計画を作成し届け出る。 |
●非常用品・防災資器材等の備え
飲料水や食料品は1人3日分を目安(水は1人1日3リットルを目安)に、簡易トイレや非常用照明器具、発動発電機等も備蓄しておくとよいでしょう。また、従業員各自に備蓄用ケースを配布し、各自が常備薬等の必需品を備えるといった工夫もよいでしょう。 救出救護活動や消火活動等を行うための各種資器材は、持ち出しやすい場所に保管し、いざという時のために定期的に点検しましょう。
●防災訓練の実施
災害時にあわてることなく顧客の誘導や避難行動がとれるよう、年に数回の訓練を実施しましょう。
各自が実際の災害をイメージしながら、訓練に参加することが重要です。
●地方公共団体や地域との防災協力
事業所は、地域に密着し迅速な対応ができること、日常的に培われた組織力が発揮できること、専門的な資機材や技術があることから、地域の防災力強化のカギを握っていると言えます。
いざという時のために、地域や自主防災組織等の防災訓練に積極的に参加する等、日頃から地域との結びつきを深めておきましょう。
また、近年、公的な災害対策の要となる地方公共団体と事業所との間で以下のような具体的な協力関係を築く必要性が認識されるようになっています。
皆さんの事業所でもこれらの取り組みへの参加を検討されてみてはいかがでしょうか。
【事業所と地方公共団体間の連携方法】
・防災協力事業所登録制度
・消防団協力事業所表示制度
・防災協力協定の締結