●帰宅困難者対策
帰宅困難者とは、出先で大地震等に遭遇し、電車等の交通機関の停止や自動車の利用禁止に伴い、自宅が遠隔なため帰宅をあきらめる人々や、一旦徒歩で帰宅を開始したものの途中で帰宅が困難となり保護が必要になる人々をいいます。
参考までに、東京都の平成18年度「首都直下地震による東京の被害想定報告書」によると、出先から自宅までの距離別の徒歩による帰宅困難割合を以下の通り設定し、予想される帰宅困難者数を算出したところ、東京都全体で外出者(都内滞留者)1,144万人のうち、約392万人(約34%)の帰宅困難者が発生するとされています。
距離別帰宅困難割合
自宅までの距離 帰宅困難割合 ~10km:全員帰宅可能(帰宅困難割合=0%)
10km~20km:被災者個人の運動能力の差から、帰宅困難割合は1km遠くなるごとに10%増加
20km~:全員帰宅困難(帰宅困難割合=100%)
災害時、事業所は安否情報や交通情報等の収集を行い、災害の状況を十分に見極めた上で、安全確保に十分留意しながら帰宅可能な従業員を適宜帰宅させます。なお、夜間や自宅の安否確認ができた従業員については、ひとまず事業所に留めるという選択肢もあります。 また、買い物客等が多い事業所では、顧客に対しても従業員と同様の配慮が必要です。 以下は、東京都が提唱する「帰宅困難者心得10か条」です。いざという時のために、日常から従業員に周知しておきましょう。
・あわてず騒がず、状況確認 ・携帯ラジオをポケットに
・つくっておこう帰宅地図
・ロッカー開けたらスニーカー(防災グッズ)
・机の中にチョコやキャラメル(簡易食料)
・事前に家族で話し合い(連絡手段、集合場所)
・安否確認、ボイスメール(災害用伝言ダイヤル)や遠くの親戚
・歩いて帰る訓練を
・季節に応じた冷暖準備(携帯カイロやタオルなど)
・声を掛け合い、助け合おう
災害時には、指定の公共施設や自治体との協定を結んだコンビニエンスストア、ガソリンスタンド、ファミリーレストラン等の施設で、水、トイレ、情報提供等の支援を受けられます。 従業員は、各自の帰宅経路にあるこれらの施設について、あらかじめ確認しておくとよいでしょう。
●事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan) 事業継続計画(BCP)とは、企業が自然災害等で被災しても、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めておく計画のことです。 参考として、BCPの策定・遂行に必要な事項を以下に示します。
BCPの策定・遂行に必要な事項
・優先して継続・復旧すべき中核事業の特定
・緊急時における中核事業の目標復旧時間の設定
・緊急時に提供できるサービスのレベルについて顧客と予め協議
・事業拠点や生産設備、仕入品調達等の代替策を用意
・全ての従業員と業務継続についてコミュニケーションを図る
おわりに、インターネット上の関連ページを示しますので、こちらもぜひ参考として下さい。
【内閣府・企業防災トップページ】
【(社)日本経済団体連合会・災害に強い経済社会の構築に向けて】
参考: 東京都総務局「東京都防災ホームページ」