関東大震災を描いた絵(大正むさしあぶみと震災絵はがきに見る惨禍)
大正むさしあぶみと震災絵はがきに見る惨禍-大正むさしあぶみは、川村花菱(文)と山村耕花(画)の描いた関東大震災。震災絵はがきも当時の貴重な資料。
(1)大正むさしあぶみ
大正むさしあぶみは、関東大震災の過酷な現実について、画家の山村耕花が描いた30枚のスケッチに、新派劇の脚本家だった川村花菱が文章を添えたものです。「報知新聞」に連載され、報知新聞出版社から単行本として出版されました。
東京大学の廣井教授は、「日本人の災害観」という論文の中で、「生と死のいちじるしい対照を描写し、人間の運命の惨酷さに思いをはせている部分がいくつかあり、耕花のスケッチとあいまって、読者に独得の感銘を与えずにはおかない。」と述べておられます。
ここではそのなかから、最初の部分を転載します。
(2)震災絵はがき
関東大震災当時、震災絵はがきが各所で出回りました。今となっては、当時の経験を物語る貴重な資料とも考えられます。
石井敏夫氏は長い年月をかけて震災絵はがきを蒐集してこられ、それをもとにして「絵はがきが語る関東大震災 石井敏夫コレクション」(木村松夫・石井敏夫 編著 拓植書房)という本が出版されています。
その本の中から巻頭グラビア写真のいくつかを紹介させていただきます。
場所不明
惨害常夜天空に漲る火煙
麹町区
大震害を蒙りたる二重橋
前の○柳と皇居二重橋
<○印は判読不明>
京橋区
惨状の最も甚しかった築地の大亀裂
麹町区
ペチャンコになった日比谷公園音楽堂と震災前の音楽堂
場所不明
大震災大火を呪う如き怪雲と猛煙
京橋区
猛火に包まれた京橋附近
麹町区
帝国ホテル付近の猛火
麹町区
猛火に包まれる警視庁と震災前の警視庁
麹町区
数寄屋橋付近の猛火
日本橋区
日本橋付近の猛火と震災前の日本橋
京橋区
京橋区銀座街の大惨状と震災前の銀座大街
京橋区
京橋区山下橋付近の大延焼と震災前の高架線
本所区
本所国技館付近の惨状と震災前の両国国技館
本所区
惨憺たる吾妻橋の焼失と震災前の吾妻橋
浅草区
猛烈を極めたる浅草仲見世の大延焼と震災前の仲見世の賑わい
浅草区
六階より折れて付近は火の海となる。
別図は帝都の高洛と誇りし十二階の雄
浅草区
震災前の浅草公園花屋敷と全焼したる花屋敷、呑気な象くんの避難
場所不明
猛火の中を右往左往に逃げんとする避難民の実景
麹町区
丸の内へ避難する群集。
日本橋及び神田方面の猛火を望む
その他
田端付近の避難民