(1)大正むさしあぶみ
大正むさしあぶみは、関東大震災の過酷な現実について、画家の山村耕花が描いた30枚のスケッチに、新派劇の脚本家だった川村花菱が文章を添えたものです。「報知新聞」に連載され、報知新聞出版社から単行本として出版されました。
東京大学の廣井教授は、「日本人の災害観」という論文の中で、「生と死のいちじるしい対照を描写し、人間の運命の惨酷さに思いをはせている部分がいくつかあり、耕花のスケッチとあいまって、読者に独得の感銘を与えずにはおかない。」と述べておられます。
ここではそのなかから、最初の部分を転載します。