『うだつ』を上げた

『うだつ』を上げた


38

『うだつ』を上げた 脇(徳島) 平成5年7月

木谷川に架かる南橋は、曲線が美しい木造の橋で、渡れば卯建の町並が約400メートル続く旧無養街道である。

ここ南町界隈は、江戸から大正にかけて藍や繭で財を為した商人達が競って『卯建』を上げたもので、豪荘な邸が今に残っている。

夏の昼下がり、この町並を歩く人は誰れもなく、私一人の散歩道。曇り空でもやはり暑い。タオル地のハンカチを手に町を歩く。

白壁に黒い瓦、虫籠窓や千本格子が昔の栄華を偲ばせるここ脇町は『重要伝統的建造物群存地区』の脇役どころか主役である。