時が佇ずむ

時が佇ずむ


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時が佇ずむ 桜井(奈良) 平成5年11月

忍坂の集落は未だ眠っているのか物音一つしない。秋の穫り入れも済んだ休日の朝ともなれば、どこでもゆっくりくつろいでいるのであろう。

半鐘は舒明陵に入る道の入り口に建っていた。

秋の大和路、柿の実も朝の軟かい光りで適度にトーンを落としている。

人の気配に犬が吠える。徴かな風に木葉が一枚大きな石の上に音もなく落ちた。この石、古墳から出た石棺の蓋と後で知った。