忍坂の集落は未だ眠っているのか物音一つしない。秋の穫り入れも済んだ休日の朝ともなれば、どこでもゆっくりくつろいでいるのであろう。
半鐘は舒明陵に入る道の入り口に建っていた。
秋の大和路、柿の実も朝の軟かい光りで適度にトーンを落としている。
人の気配に犬が吠える。徴かな風に木葉が一枚大きな石の上に音もなく落ちた。この石、古墳から出た石棺の蓋と後で知った。