海辺の半鐘 下浜(秋田)平成5年10月
ここ下浜は、羽越本線で秋田から四つ目の海沿いの小さな無人駅である。駅に降りた時は大粒の雨が降っていた。
線路沿いに国道7号線が走り、道路から少し斜面を隔てて、すぐ日本海である。
この僅かな間に松の防風林があり、それが一様に陸側に傾き、冬の季節風の強さをうかがわせる。その風に乗った波しぶきを受けるであろう、半鐘は緑錆をふいている。この火の見櫓は小振りでシンプルな姿で凛として立っている。
降る雨の中、お使いか女の子が一人通り過ぎた。黄色い傘と赤い靴が妙に印象に残っている。