錦を着た『屯所』 弘前(青森)平成5年10月
タクシーに乗り「紺屋町の消防屯所まで」と云えば、寺山修司の取材かと聞かれた。
修司の父が警察官だったので子どもの頃住んでいたとのこと。そう云えば正面に右からの横書きで『弘前警察署紺屋町巡査派出所』と、二段に書かれているのがかすかに読める。今は弘前消防団第四分団の屯所として使われている。
城の樹々は落葉を前に、今、生命の限り燃え尽きようとしている。津軽は将に錦秋、庇の深い民家もこの地方特有の構え、間もなくこの庇の上にも丈余の雪が積もるのであろう。