大型化学車
大型化学車には、石油コンビナート火災などの大規模災害に備えるI型と、航空機災害への対応を主とするII型があり、II型は走行しながら放水できるなどの特徴があります。
国内でII型大型化学車を保有する消防本部は、地域に大きな空港があるところに限られています。
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成田市消防本部(千葉県)では航空機災害用の大型化学車を保有しています。現在の車両は平成16年に配備されました。
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成田市内には成田国際空港(成田空港)があり、毎日多くの航空機が離発着しています。安全な運行のため、成田市と空港の消防機関が協力して活動にあたります。
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この化学車は、全長約11.6m、全幅2.5m、全高2.5mのとても大きな消防車両です。
水2500リットル、化学消火薬剤500リットル併せて3000リットルを積載することができます。
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車両の上部です。銀色の箱は工作資機材が入る様になっています。また、いちばん手前のハッチはエンジンルーム、奥側のハッチは化学消火薬剤の水槽のものです。
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側面には他の消防車両と同じように吸水管(左側)があるほか、30mのホースリール(右側)が付いています。
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消火活動には主として写真のタレット(放水銃)が使われます。タレットは運転席またはタレット脇の操作盤でリモート操作できるほか、写真右のハンドルを設置して手動で操作することもできる様になっています。
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運転室は前方の視界が良く見える様に工夫されています。
また、いろいろな機器が付いており、中央手前の機器を使い屋根にあるタレットを操作することができます。
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運転室後方はシートが背中合わせになっており、後ろに座る消防隊員も周りを良く見渡せる様になっています。
右側のはしごは、屋根に上がるためのもので、ハッチからタレットのすぐ後ろに出ることができます。
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タレットは消火機器としてとても強力ですが、数分で積んでいる薬剤を使い切ってしまいます。効率よく活動するため、すぐに給水できる様にタンク車(写真右後ろ)が一緒になって活動しています。
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消火活動には主として写真の様にタレット(放水銃)が使われます。最大60m、毎分3000リットル又は1500リットル放水することがきます。
また、低速走行しながら放水できるので、広い滑走路に化学消火薬剤を放射することができます。
写真左は成田空港の大型化学車です。
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航空会社、成田空港の消防組織と協力しての消火活動訓練の様子です。写真中央がタンク車、右が大型化学車、左が通常の化学車です。大型化学車がどれ程大きいか分かりますね。
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航空機災害では、大変強いふく射熱を受ける恐れがあるため、車外で活動するときには写真の様な耐熱防護服を着用して熱に注意しながら活動します。