10.昭和60年代以降の消防

(3)予防

昭和60年代以降の消防

(3)予防

 昭和62年の松寿園火災を踏まえ、社会福祉施設等のうち自力避難困難者が多数いる施設について、屋内消火栓設備及びスプリンクラー設備の設置対象を拡大した。また、平成2年の長崎屋尼崎店火災を契機に、物品販売店舗等においてもスプリンクラー設備の設置対象を拡大した。
 また、高層建築物、大規模建築物における消防防災システムの整備を推進するため、昭和61年12月に「消防防災システムのインテリジェント化推進要綱」を定め、特に優れた消防防災システムに対して表彰する制度を設けた。
 平成2年には、防火基準適合表示制度に、新たに2年以上表示基準に適合していると認められた対象物にはその旨を表示する「適継続章」を交付する制度を設けたほか、平成8年には適マーク交付基準に、消防機関へ通報する火災報知設備の設置等2項目を追加した。
 平成4年には、消防用設備等の定期点検業務を行うことのできる消防設備士及び消防設備点検資格者が、業務を誠実に行うように指導するとともに、これに違反した場合の「消防設備士免状の返納命令に関する運用基準」のほか、平成10年には「消防設備点検資格者の不適正点検に対する指導指針」を策定した。さらに、危険物に関しては、平成2年から毎年6月の第2週を「危険物安全週間」として啓発運動を実施することとなった。
 平成10年3月31日現在の全国防火対象物数は343万7,692件、危険物施設数は55万6,674施設で、平成9年度中の各防火対象物の査察件数は113万2,285件、危険物施設の立入検査件数は延べ34万9,401件行われた。

東京都東村山市特別養護老人ホーム「松寿園」火災

(「消防のあゆみ-自治体消防50年記念-」より)