9.昭和50年代の消防

(6)防災体制の充実

昭和50年代の消防

(6)防災体制の充実

 石油コンビナートに関しては、昭和49年12月18日に発生した岡山県倉敷市三菱石油水島製油所重油流出事故、昭和50年2月16日に発生した三重県四日市市大協石油四日市製油所タンク火災等の石油コンビナート災害を契機として、危険物・高圧ガスが大量に集積している石油コンビナート等に係る総合的な防災体制の確立を図るため、昭和51年12月に石油コンビナート等災害防止法が制定された。

石油コンビナート等災害防止法制定
(昭和50年12月17日)

(「自治体消防四十年の歩み」より)

 同法に基づき、33都道府県にわたって石油コンビナート等特別防災区域が指定され、当該都道府県には石油コンビナート等防災本部が、特定事業所には自衛防災組織や共同防災組織が設置される一方、石油コンビナート等特別防災区域所在市町村においても所要の消防力の整備を図って万が一の災害に備えることとした。また、石油コンビナート等災害防止法の施行に伴い、消防法も一部改正され、特定の製造所等の設置又は変更の許可を受けた者は完成検査前検査を受けなければならないこと、一定規模以上の屋外タンク貯蔵所の所有者等は保安に関する検査を受けなければならないことが義務づけられた。
 世界有数の地震国であるわが国では、地震に対する備えが必要であり、従来から都市防災化の推進、防災体制の整備、防災知識の普及等の対策を講じてきたが、昭和53年には、大規模地震対策特別措置法が制定され、東海地震を想定した地震防災対策強化地域が指定され(神奈川県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県及び愛知県の東海6県に及ぶ170市町村)、これらの地域では地震防災強化計画の策定し、地震防災応急対策の実施を推進することとされた。昭和47年度から補助事業として大震火災対策施設等整備事業が推進されていたが、指定された地震対策強化地域においては、昭和54年度から100平方メートル型耐震性貯水槽、100平方メートル型飲料水兼用耐震性貯水槽及び可搬式小型動力ポンプの整備ついて、現行の3分の1の補助制度とは別に新たに2分の1の補助制度が創設された。