7.昭和30年代の消防

(6)防災体制の充実

昭和30年代の消防

(6)防災体制の充実

 消防は、かねてより火災のみならず、風水害、地震等の災害発生時には、市町村長の下、災害に対処してきた。昭和36年11月15日災害対策基本法が制定されるに伴い、災害における消防機関の果たすべき役割を明確にするため、消防組織法の一部を改正して、災害の防除と被害の軽減を消防の任務と規定した。
 また、災害対策基本法が制定される以前、災害の場合には市町村長が現場において実際の防災活動を行っていたが、これは法的には市町村長が都道府県知事の委任を受け、あるいは都道府県知事の分身として行うものと考えられてきたが、制定された同法では、市町村長を防災活動の第一次責任者とし、都道府県知事はその後ろ盾という考え方を取っている。
 市町村長の応急措置等の各種権限は、実際には主として市町村の実動機関である消防機関が代行し、または補助することになるので、ここにおいて消防機関の災害における責務はより一層重要なものとなったのである。
 なお、昭和37年における風水害、地震・津波、雪害、地すべり等の災害に対する活動状況をみると、消防職員が出動した人員は全国で延べ4万1,369人であり、火災を含めた総出動105万3,182人の3.9%にあたり、消防団員が災害に出動した人員は全国で延べ65万3,064人で、総出動301万4,863人の21.7%となっている。