地震火災から文化遺産を守る
地震火災から文化遺産を守ること
1995年1月17日に兵庫県南部地震が起こり、6400もの人命が失われました。また、多くの火災が発生し、数千の家屋が焼けるとともに何百もの人々が焼死しました。この地震による被害は甚大でしたが、その後の被災地は驚くべき速さで復興しました。一方、地域にとって大切な文化遺産も多く失われましたが、幸いにも国宝が損なわれることはありませんでした。しかし、国宝や重要文化財の数がはるかに多い京都で同じような地震が起こったらどうでしょうか。
京都は神戸よりも燃えやすい木造家屋の比率が大変高く、阪神淡路の大震災でも京都の著名な寺院の消火施設が壊れました。5ー60kmも離れた地震で消火機能が失われたのです。
もしも同じような地震が京都で起これば、多大な被害がでるでしょうが、阪神淡路大震災の被災地域と同じようには復興できないでしょう。なぜならば、神戸にも京都にも共通である現代の文明は復興できても、千数百年の時を経た文化遺産を復興することは出来ないからです。
こうしたことは、京都ばかりでなく、奈良や鎌倉をはじめ、文化遺産や文化財あるいはそれら取り巻く歴史的環境を有する全国の地域においても同様です。
現在の私たちには、地震をはじめ色々な自然災害に対する知識や、それらから貴重な文化遺産を守るための技術の蓄積があります。これらを活用してや被災防止のための対策をたてて、伝統ある文化遺産を後世に伝えることが大切であり、それは私たちのつとめです。
動画「地震がくれば京都は燃える 文化遺産を守ろう」では、私たちが受け継いできた文化遺産の大切さ、これを守るための取り組みを分かり易く紹介しています。どうぞご覧下さい。
NPO 災害から文化財を守る会
代表 土岐 憲三